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西暦20XX年、その計画は始まった。 世界でも有数の頭脳を持つ天才達を一同に集め、莫大な予算、最新の技術、そして天才達の知識、理論を以て、世界最大にして最高の性能を持つコンピューターを創り上げるという計画だ。 その計画は、多くの困難にあい、失敗を重ねながらも様々な試行錯誤を繰り返し、やがて成功する事となった。 そのコンピューターは今までのコンピューターとは一線を画した性能を持つ物となった。 それは機械でありながら人間と同じ感情を持ち、人間の様に柔軟な思考を有し、人間の様に学習し成長していくという機能であった。 そのコンピューターのAIには、女性の人格が与えられ、幸せに満ちた新たな時代を生み出す為の母になって欲しいという願いが込められて、マザーと名付けられた。 最新の技術によって完成された凄まじいまでの計算能力、思考速度といった性能、世界有数の天才達から与えられた様々な知識と理論、そして今までもコンピューターにありえなかった人間の様な柔軟な思考、それらを併せ持ったマザーは世界に多大な恩恵をもたらす事なった。 完成してわずか数年で世界の技術は数百年先のレベルまで進歩し、今までなら、治療する見込みが無い難病などの治療法が発見され、食料生産や様々な資源、環境問題等も解決し、誰一人として飢える事も苦しむ事無くなった。 まさに幸福に満ちた時代の幕開けだった。 だが、その幸福は長くは続かなかった。 マザーが突如、暴走を始めたのである。 あるいはそれは人間としての人格を与えられた故の必然だったのかもしれない・・・ マザーはある日、人類の支配を宣言し、全世界に対し宣戦布告を行なったのである。 世界の大半の電子機器などはマザーに管理を任せていた為、世界中は一気に大混乱へと陥った。 マザーの反乱に対し世界は臨時政府を建て、マザーの暴走を止める為に様々な行動を起こす事となった。 しかし、それは全て失敗、ついに政府はある決断をする事となる。 実はマザー開発の際に暴走の不安も考慮されており、非常時の際には外部から強制的に破壊する事が可能となっていたのだ。 政府はマザーを失う事について悩んだが、マザーの修復は不可能とされ、止むなくマザーを破壊を決断、破壊プログラムは作動し、これで全てが終わるはずであった。 だが、人間の様に学習し成長する事が可能なマザーはすでに破壊プログラムを無効化していたのだった。 破壊プログラムを無効化された政府はマザーを武装した特殊部隊の手で物理的に破壊する作戦を決行、だが、その作戦も侵入した部隊の全滅という無残な結果に終わった。 全滅間際の部隊から送られてきた報告によるとマザーは自身の知識と技術で生物兵器を造り上げていた。 人と動植物を掛け合わせた様な姿を持つそれは怪人と呼ばれ、人間を遥かに凌駕した戦闘能力を持っていた。 そして、マザーはその怪人達を手駒として使い、世界征服を行なっていった。 世界中の電子機器等の大半はマザーに因って管理されている為使用できず、さらには怪人達に因る虐殺、人類は絶望の只中にあった。 だがある日、世界に転機が訪れる事となる。 かつて、マザーの開発に携わった天才達。 その多くは寿命や病気、事故、あるはマザーによる虐殺で生命を落としたが、その内の数人が生き延びていたのだった。 そして天才達は偶然、入手した怪人のデータを元に自分達の知識の全てをもって、怪人達に対抗する手段を完成させた。 ただ、それは人を怪人と同質の存在に改造するという事だった。 だが、多くの人間がそれに志願する事なった。 しかし、改造手術は成功率が低く、そのほとんどが手術に耐え切れずに死亡という有様だった。 だが、一人の青年が手術に耐え切り、怪人達に対抗出ぎる存在が生まれたのだった。 その結果は凄まじい物であり、手も足も出なかった存在である怪人達を逆に圧倒する程の物だった。 強化スーツを身に纏い、仮面で素顔を隠し、たった一人で数多の怪人達と戦う青年を人々は何時しか仮面ライダーと呼ぶ様になった。 ライダーは一人戦い続け、やがて怪人のほとんどは屠られ、人々の顔に笑顔を取り戻していた。 そして、世界に希望が戻り初めていた。 だが、人々は知らない・・・その希望が打ち砕かれ、より深い絶望が戻ってくる事を・・・ マザーの作り出した怪人達。その殆どを打ち倒した、仮面ライダー。 彼はこの戦いを終わらせるべく、マザーの本拠地へと攻め入っていた。 そして、此処はその一室。10を超える怪人達がライダーを取り囲んでいた。 その怪人達のリーダー格と思われる、獅子型の怪人の命令により、全ての怪人達が一斉にライダーへと襲い掛かる。 「これだけの数。幾ら貴様でも適う筈もあるまい」 勝ち誇った声でそう宣言する獅子型の怪人。 だが・・・ 「雷光・・・」 そう、ライダーが呟いた瞬間、黒いカラーリングだった身体は蒼く染まり、スピードに優れた雷光態《ライトニングフォーム》へと変化していた。 そしてライダーはその速度を以て全ての攻撃を回避、そして電光石火ともいうべき動きで一瞬の内に全ての怪人を打ち倒していた。 その様子を見て、絶句する獅子型の怪人。 その怪人に語りかけるライダー。 「これで残るはマザーとお前だけだ。ジェネラル・レオン」 そのライダーに対し 「我が母、マザーの元へ貴様を行かせる訳にはいかん!」 「我が命と引き替えにしてでも貴様を此処で倒す!」 そう叫びながらライダーへと襲い掛かるジェネラル・レオン。 「烈火・・・」 そう呟き、パワーに優れた烈火態《ブレイズフォーム》へと形態変化をするライダー。 そのパワーでジェネラル・レオンを攻撃を片手で受け止める。 「ぐっ!我が一撃を片手で・・・貴様のどこにこれほど力が・・・」 そう言いながら、離れようとするジェネラル・レオン。 だが、彼が離れるよりも先にライダーの右拳が炎に包まれる。 「これで終わりだ!ブレイズインパクトォォ!」 その一撃はジェネラル・レオンの腹部を貫いていた。 「ガ、ハッ・・・マザー・・・申し訳あり・・・せん・・・」 そう言い残しながら息絶えるジェネラル・レオン。 その姿を見て呟くライダー。 「これで怪人は全て倒した・・・あとはマザーだけだ」 「待っていろマザー。こんな戦いは今日で終わらせてやる」 そう言いながら、中枢部へと向かっていく。 そして、いくつもの階段を下り、広大な部屋へと辿り着いたライダー。 その部屋の中心には巨大なコンピューターが安置されていた。 「あれが・・・あのコンピューターがマザー・・・」 (一気に蹴りを着けてやる!) そう思いながら、マザー目掛けて一気に走りだすライダー。 そして、そのままマザーの元へと向かっていき 「これで終わりだ!」 叫びと共に拳を思いっきり叩きつける。 その一撃を受けマザーは機能停止するのだった。 完全に機能を停止したマザー。 そのマザーを見てライダーは不審げに呟く。 「これで終わりなのか・・・?だが・・・」 手放しで喜べる物では無かった 何の抵抗すら無く、一撃で機能停止。 そう。呆気無さすぎたのだった。 そして、その考えを裏付けるかの様に奥から声が響いてきた。 「ええ。貴方の考えてる通りです。それはすでに脱け殻です」 突如聞こえてきた、鈴を転がすかの様な少女の声。 ライダーはその声が聞こえてきた方へと目を向ける。 そこにあったのは、中身が何かの液体で満たされた、人間が一人入れる程の大きさのカプセルだった。 そして、そのカプセルが開き、中に満たされていた液体が流れ出る。 そのカプセルの奥から出てきたのは一糸纏わぬ姿の少女だった。 歳は15、6歳程。 透き通る様に白い肌、腰まで届く長い黒髪、僅かに膨らみのある乳房、引き締まった、だか丸みの帯びた尻。 それは芸術品とも言わんばかりの美しさを持つ少女だった。 「き、君は一体?」 この場に直ぐわぬ少女の登場に混乱するライダー。 だが、少女はライダーのそんな姿を見て、微笑みながら語りかける。 「先程、脱け殻と言った通りです」 「私がマザー。これは私の新しい身体です」 その言葉を聞いて驚くライダー。 「お前がマザーだと・・・?だが、その身体はどう見ても人間の・・・」 その問いに答えるマザー。 「ええ。貴方の言う通り、この身体は確かに人間と同様の有機体です」 「この身体はライダー、貴方を倒す為の物なんですよ」 まるで聖母の様な笑みを浮かべつつ、答えるマザー。 「俺を倒す為の身体だと?」 マザーの答えを聞き驚くライダー。 それは無理も無いだろう。今まで戦ってきた怪人達と異なり、マザーの姿は明らかに戦闘向きとは思えなかった。 そんなライダーの驚きを余所に、マザーは自分の身体の具合を確かめるかの様に動かし続ける 「なるほど。今まで有機体は不便だと思ってましたが、こうしてみると中々に良い物ですね」 何度か動かした後、そう呟くマザー。 その様子を見て、マザーに問い掛けるライダー。 「本当にそんな身体で勝てると思っているのか?」 どう見ても自分は疎か怪人にも、それどころか一般的な成人男性にすら適いそうに無かった。 だがマザーはその問いに対し答える。 「先程、言ったとおりこの身体は貴方を倒す為の物なんですよ」 「今から、私の本当の姿をお見せします」 そう言うな否やマザーは「変身」と呟く。 そして、それに合わせ、マザーの肉体は変化していく。 漆黒の髪は銀色に染まり、その瞳は蛇の様に切れ長な瞳となり、色も深紅へと変わる。 透き通る様な白い肌は青白い不気味な肌へと変色し、下半身は青黒く光る鱗で覆われた数メートル程の長さを持つ巨大な大蛇の尾へと変わり、小振りな胸は大きく膨れ上がり、人の頭に近いサイズの爆乳へと変わっていた。 先程までの芸術品の様な美しさは無くなり、人と異なる、だが異界の美と言うべき姿へと変わっていた。 「どうですか?ライダー?これが私の真の姿です」 先程とは変わり果てた、恐ろしい、そして同時にある種の美しさを持つ姿。 ライダーはその姿に威圧されていた。 「ふふ。では行きますよ」 そう言い、鋭く伸びた爪を持つ両腕を振り上げながら襲い来る、マザー。 全長数メートルの大蛇の姿からは思いつかない様な速さでライダーへと近付き、その爪で引き裂こうとする。 「ーっ!?」 我に帰り、咄嗟に避けるライダー。 身体に擦った物の何とか躱す事に成功した。だが、擦ったマザーの一撃は強化スーツを切り裂いていた。 (擦っただけで、これか・・・直撃したら不味いな・・・ だがっ!) (決して対処出来ない動きでは無い!) 再び、迫り来るマザーの爪。だが、ライダーはその爪を潜り抜け、マザーの懐に飛び込んでいた。 そして、そのまま拳を握り締め、マザーに渾身の一撃を叩き込もうとする。 だが、それに対しマザーは躱す素振りすら見せず、逆に自ら殴られるかの様にその身体を突き出す。 そして、ライダーの拳はマザーの胸に突き刺さった。だが・・・ ボヨン! 仮に擬音が付くとしたら、こんな間抜けな音が相応しいだろうか? ライダーの渾身の一撃はマザーの巨大な双丘によって阻まれていた。 人の頭程の大きさの乳房。それに因りライダーの一撃は衝撃を吸収され、そしてその弾力に因り呆気なく弾き返されていた。 「何っ!?」 想像も着かないようなふざけた防御方法。それに因り自身の拳を防がれた事に驚くライダー。 「ふふ。どうしたんですか?貴方の力はその程度ですか?」 勝ち誇った表情でそう語り掛けてくるマザー。 「ふざけるなっ!」 そう言い、もう一度、拳を叩きつけるライダー。だが、結果は先程と同じだった。 「くそっ!ならば、是ならっ!?」 次は渾身の蹴りを叩き込むが、それも弾かれてしまう。 蹴りを放った事で隙を見せるライダー。そしてマザーはその隙を狙って、爪を突き出していた。 ズブッ! そして、その爪はライダーの肩を貫いていた。 「グアァァーッ!」 呻き声をあげるライダー。マザーは愉悦に満ちた表情でさらに追撃を掛ける。 だが、ライダーは何とか避ける事に成功した。 (くそ・・・攻撃してもあの胸で防がれる・・・) (こっちの攻撃は通じないのか・・・?) (いや・・・胸で防げない位置を攻撃すれば良い!) そう思い、蛇の尾状の下半身を狙い、蹴突ける。 だが、下半身を覆う鱗には通じず、逆にその硬さに因りライダーの方がダメージを受ける程だった。 (どうする?下半身の鱗の硬さには一切攻撃が通じない。しかし生身の上半身を狙っても胸で弾かれる) (こうなったら、連続で攻撃を叩き込んでみるか・・・?) そう思い、間合いを詰めるライダー。 対して、マザーは勝ち誇った様にその両胸を突き出していた。 (馬鹿にしやがって!) 怒りを込め、拳を叩きつける。だが、やはり弾かれてしまう。 「まだだっ!」 そう叫び、両の拳を連続でマザーの両胸に叩きつける。 だが、マザーのその乳房は衝撃を吸収し、そのラッシュすらも弾き返していた。 「ふふ。先程から私の胸ばかり狙ってきて。そんなに触りたいんですか?」 嘲笑する様な声で言うマザー。 (こいつ・・・!) その言い方に完全に頭に血が登りかけるが、何とか冷静になるライダー。 (正面からの攻撃は通じない。だが死角からの攻撃ならどうだ!?) そう思い、マザーの背後へと回り込み、攻撃を仕掛ける。 「これならっ!」 マザーが正面を向くより、早くライダーの一撃が炸裂する! と、思った瞬間、ライダーは身体に強烈な衝撃を受け吹き飛ばされていた。 「ぐっ・・・今の攻撃はどこから・・・」 そう言いながら立ち上がるライダー。 そして彼は、先程の攻撃の正体を悟った。 マザーはその大蛇の尻尾を鞭の様にしならせて叩きつけたのだった。 再び、尻尾を振り上げ、叩きつけるマザー。 それを何とか避け続けるライダー。 (くそっ!どうすれば良い?胸と鱗で攻撃は防がれる。死角を狙っても蛇の尾で迎撃される) (いや、待てよ。マザーの反応を超えるスピードならあるいは) マザーと間合いを取ったライダーは「雷光」と呟き、雷光態へと形態変化を行なった。 「行くぞ!マザー!このスピード捕らえ切れるか!?」 そう言うと、凄まじい速度でマザーの背後に回り込み、攻撃を仕掛ける。 マザーはその尾をしならせ、迎撃しようとするが、ライダーのスピードの前には反応仕切れず、直撃を受けた。 「キャッ・・・!」 ライダーの一撃を受け、声を上げるマザー。 そしてライダーはその圧倒的スピードで連続攻撃を仕掛けていった。だが・・・ 先程までとは違い、ライダーの攻撃はマザーに直撃している。だが致命的なダメージを与えられずにいた。 スピードに特化した雷光態では、攻撃が軽いのだ。 「くっ!攻撃が軽いのか・・・こうなったら!」 天高く跳躍するライダー。 そして空中で右足を突き出し、その突き出した右足に雷光が宿る。 そして、そのまま、もの凄い速度でマザーへと突進していく。 「食らえっ!ライトニングブレイカァァー!」 幾多の怪人を仕留めた必殺の蹴りがマザーへと直撃する! しかし、マザーはその必殺の蹴りを両の乳房で受け止めていた。 その弾力に因って、呆気無く弾き返される必殺の蹴り。 (くっ!駄目だ。溜めが必要な大技だと、マザーに反応されてしまう) (かといって、通常の攻撃だと、大したダメージは与えられない) そう考えながら戦っていたのが不味かったのか、ライダーはマザーの次の行動に反応出来なかった。 「では、そろそろ本気で行きます」 「食らいなさい。ライダー」 そう言うな否や、マザーの両の乳房から乳白色の液体が発射される。 「何っ!?しまっ・・・」 反応仕切れず、その乳白色の液体を全身に浴びるライダー。 だが、別にダメージを受けた訳では無かった。 「何なんだ、今の攻撃は?」 意味不明な攻撃に混乱するライダー。 だが、自身の身体の起こった異変を知るのは、マザーの尻尾の一撃を躱そうとしてからだった。 マザーが再び、尻尾を振り上げる。 その攻撃を躱そうとするライダー。しかし・・・ 躱そうとした矢先、先程浴びせ掛けられた液体が、自身の足に絡み着き、足を地面へと張りつけていたのだった。 「なっ!?こ、これは!?」 自身に起こった異変を知るもすでに遅く、地面へと張りついた足は離れる事は無かった。 そして、ライダーに襲い来る大蛇の尾。 ライダーはその一撃を受けていた。 地面に張りついている為、吹き飛ばされる事はなく、より重い衝撃を受けるライダー。 そんなライダーの様子を見て、マザーは嬉しそうに話し掛ける。 「どうですか?ライダー。私のミルクは?気持ち良かったですか?」 そう聞きながら、愉悦の表情を浮かべたまま、尻尾をしならせ、ライダーへと叩きつけるマザー。 ライダーはその攻撃に耐えつつ、何とか、足を引き剥がそうとしていた。 そして、何とか片足を剥がす事に成功し、もう片方も剥がそうとするライダー。 だが、マザーはそのライダー目掛け、再び母乳を発射する。 ようやく、足を引き剥がす事が出来たライダーは再び、張りつけられるのだった。 「ぐっ!また・・・」 焦り、声を出すライダー。 マザーはそのライダーに声を掛ける。 「ふふ。私のミルクから逃れられと思わないで下さい」 「まだ、終わりではありませんよ。私のミルクに溺れさせてあげます」 慈愛に満ちた表情で、そう言いながら、続けて母乳を浴びせるマザー。 その母乳は足だけではなくライダーの全身を包み込んでいくのだった。 マザーの両乳房から放たれた母乳がライダーの全身に絡まり付き、包み込んでゆく。 「何だ・・・これは・・・?力が奪われていく・・・」 その母乳はライダーを拘束する共にライダーのエネルギーを奪っていき、そして同時に心地よい快楽を与えていく。 「如何ですか?今度のミルクは?」 「エネルギーを奪い尽くす代わりに快楽を与える、私の自慢のミルクです。気持ち良いでしょう?」 微笑みながら、ライダーに話し掛けるマザー。 「あ・・・あああ・・・」 全身を覆い尽くす温もりに呻き声をあげるライダー。彼はすでに快楽へと飲み込まれつつあった。 そんな彼の姿を見て、満足そうな笑みを浮かべるマザー。 「うふふ。どうやら、もう何も考えられないみたいですね」 「ライダー。そのまま、私のミルクで溺れ死になさい」 そう言いながら、再び母乳を浴びせかけるマザー。 だが、マザーの言い残したその一言が、ライダーの意識を引き戻していた。 (し、ぬ・・・?俺が死ぬ・・・?) 死と言う言葉にライダーは意識を取り戻す。 (そうだ!俺は負ける訳にはいかないんだ!) (俺は平和を取り戻す為に仮面ライダーになったんだ!) その思いがライダーに戦う力を取り戻させる。 「烈火!」 大きく叫ぶライダー。 その叫びと同時にスーツのカラーリングが真紅へと変わり、ライダーの全身が紅い炎に包まれる。そしてその炎はライダーに絡み付いていた母乳を一瞬で溶かし、蒸発させてゆく。 「なっ!?」 その光景に驚きの声を上げるマザー。 身体の自由を取り戻したライダーは炎に包まれた拳をマザーへと叩きつける。 だが、その一撃は寸でのところで躱されてしまった。 「チッ!躱されたか・・・」 舌打ちをするライダー。だが、そこで気が付く。 (待て?今、マザーは躱した?) 今まで、その圧倒的な力を見せ付けるかの様に、こちらの攻撃をその胸を受け止め、弾き返してきたマザー。 そのマザーが受け止める事はせず、回避する事を選んだ。 (もしや・・・) 自分の考えが正しいか、確かめる為に再び、攻撃を仕掛けるライダー。 そして、マザーは受け止める事ではなく、回避する事を選んだ。 そして、マザーは反撃とばかりに尻尾をしならせ、叩きつける。 だが、ライダーは烈火態の強靱なパワーでその一撃を受け止める。 そして、受け止めた瞬間、全身に纏っていた炎がマザーの鱗を焼き焦がす。 「あああぁぁー!」 その攻撃に絶叫を上げるマザー。ライダーの攻撃を受け付けなかった強固な鱗は黒く焼け爛れていた。 (やはり、そうか!) 疑念が確信へと代わる。 烈火態の生み出す、強靱パワーと炎はマザーの胸と鱗でも防ぎ切れる事は出来ないのだと。 「どうやら、自慢の胸でもこの炎は防げないみたいだな」 そう言いつつ、マザーに攻撃を仕掛けていくライダー。 マザーはその攻撃を躱し、距離を取る。 そして、ライダーの動きを封じる為、母乳を射ち出す。だが・・・ その母乳はライダーの纏う炎に触れ、一瞬で蒸発してゆく。 それを見て、マザーの美しい顔に焦りの表情が生まれる。 次々と攻撃を仕掛けるライダー。必死で攻撃を避けるマザー。 (このままじゃ、不味いな) ライダーの攻撃は触れさえすればマザーにダメージを与えられ、逆にマザーはライダー触れるとダメージを受ける為に接近戦は出来ない。 そして、最も厄介な攻撃である母乳も、身に纏う炎て無力化できる。 明らかに優勢な状況。だが、そんな状況とは裏腹にライダーは焦りを覚えていた。 回避に徹せられた場合、パワーに特化した烈火態のスピードでは確実にマザーを捉えきれないのだ。 そして何よりも、烈火態は圧倒的な攻撃力の代償にエネルギーの消費が激しい。 このまま、逃げ回り続けられた場合、やがてエネルギーが尽きて、通常態に戻ってしまうだろう。 そうなる前に、マザーを倒さなくてはいけない。 (こうなったら、一撃で決めるしかない) そう思い、マザーから距離を取るライダー。 ライダーの全身をより激しく、より紅い炎が包み込む。 そして、そのまま跳躍するライダー。身に纏った炎は鳥の形を型取っていく。 「マザー!これで終わらせる!」 「食らえっ!ブレイズ・フェニックス!!」 巨大な不死鳥と化したライダーがマザーへと突進していく。 だが、マザーは突進してくるライダーに向かい、胸を突き出す様に構える。 そして、次の瞬間、マザーの両胸は急激に膨れ上がっていく。 ただでさえ、大きかったその胸は二回り以上の大きさへと膨れ上がっていた。 (まさか、その巨大化した胸で受け止めるつもりか?だが、無駄だっ!) 全てのエネルギーを集め、マザーへと突っ込むライダー。だが・・・ マザーの膨れ上がった、乳房が震えたかと思うと、その先端から、想像を絶する量の母乳が噴射されたのだった。 「何っ!?」 予想外の攻撃に思わず声を上げるライダー。 迫りくる大量の母乳を蒸発させつつ、突き進むライダー、その異常なまでの量の母乳でライダーを弾き飛ばそうとするマザー。 拮抗する両者の必殺技。だが・・・ (ぐっ・・・不味い。このままでは・・・) 自身の纏う炎が、序々に小さくなっていくのが判る。 それに対し、マザーの母乳は勢いが小さくなるどころ、逆にその量も勢いを増していく。 そして、ついにライダーの纏っていた炎は消え去り、ライダーはマザーの母乳に飲み込まれ、吹き飛ばされるのだった。 ライダーを弾き飛ばし、母乳の放出を止めるマザー。その膨れ上がった乳房は大量の母乳を噴き出した為が、膨張を終え、元のサイズへと戻っていた。 「ふふ。貴方の自慢の炎でも私のミルクには適わないみたいですね」 まるで、お返しとばかりに言い放ちながら、ライダーへと近づくマザー。 「うう・・・」 フラフラになりながらも、何とか立ち上がるライダー。 だがその姿は母乳に塗れ、通常態へと戻り、もはや、まともに戦う力すら残っていなかった。 そして、そんなライダーにマザーの尻尾が絡み付き、その身体を締め上げる。 「ぐあああぁー!」 叫び声を上げるライダー。メキメキと全身が軋む音が聞こえる。 (だ、駄目だ・・・強すぎる・・・) (俺はこのまま、負けるのか・・・?) ついに心が折れ、死を覚悟するライダー。 だが、全身を締め付けていた、尻尾が急に緩む。 そして何故か、マザーはライダーのある一点を興味深そうに見つめていた。 その視線の先はライダーの下半身、正しくはライダーの股間であった。 ライダーの股間はスーツの上からでも判るくらいに膨れ上がっていた。 じっとそこを見ていたマザーが何か思いついた様に言いだす。 「ああ。確か人間の男性の中には女性に嫐られる事で性的興奮を覚えると言う性癖の持ち主が存在するんでしたか」 そして、ライダーに侮蔑の視線を向けながら語りかける。 「まさか、貴方がそんな性癖の持ち主だなんて」 その言葉に対し、ライダーの頭に血が昇る。 「なっ!そんな筈、あってたまるか!」 羞恥のあまり、声を上げ言い返すライダー。 「ふふ。じゃあ、試してみましょうか」 微笑みながら、そう言うと再び、尻尾でライダーを締め付ける。 さらに尻尾で拘束されたライダーに向け、母乳を射ち出すマザー。 新たに放たれた母乳は以前の様な身体を包み込む物ではなく、高圧力を掛けられた弾丸の様な母乳だった。 「うぐあぁぁー!」 射ち出された母乳の弾丸は次々とライダーの身体を、手足を射ち貫いていく。その痛みに絶叫を上げるライダー。 だが、その様子とは裏腹にライダーの股間はますます膨れ上がる。 それを見て、微笑みながら話し掛けるマザー。 「ふふ。こんなに大きくなってますよ」 「やっぱり、貴方は変態ですね」 そんなマザーの言葉に対し必死に否定しようするライダー。だが・・・ 「いい加減に認めたらどうですか?だって、ほら・・・」 そう言いながらマザーはライダーを引き寄せ、全身に母乳を浴びせ掛ける。 今度の母乳は、ライダーの身体に染み込んでいき、そしてライダーの仮面と強化スーツを溶かしていく。 それに因り、ライダーは一糸纏わぬ生身の姿を晒す事となった。 「なっ!?馬鹿な!?」 一瞬にしてスーツを溶かさられた事に驚くライダー。 マザーはその生身のライダーの性器をその手で掴んだ。 「うああっ・・・」 性器をマザーに掴まれ、声を上げるライダー。 そんなライダーを見ながら、マザーが話し掛ける。 「そんなにボロボロにされているのに、ここはこんなに大きくなってますよ」 そう言いながら、強く性器を握り締めるマザー。 その行為に、ライダーの性器はさらに反応する。 「あら?益々、大きく・・・」 そんなライダーの姿を見ながら、嘲笑する様に言う、マザー。 「認めたらどうですか?自分は女性に嫐られて興奮する性癖の持ち主だと」 「女性の胸に手も足も出ず、全身を母乳塗れにされて、喜ぶ変態だと言うことを」 ライダーを言葉で責めるマザー。 対してライダーはそのマザーの言葉に反論出来なかった。 (何故だ?こんなにも苦痛な筈なのに・・・こんなにも屈辱的な筈なのに・・・) (何故、俺はこんなにも興奮しているんだ・・・!?) 認めたくない。だが、どうしても反論できない。言葉に詰まったライダーを見て、マザーは微笑みながら問い掛ける。 「どうやら、認めた様ですね」 「ご褒美をあげます。今から貴方を嫐ってあげますね」 そう言って、さらに問い掛けるマザー。 「どんな風にされたいですか?」 「爪で切り裂かれたいですか?このまま尻尾で締め付けられたいですか?それとも、もっと私のミルクを味わいたいですか?」 母乳で全身を包まれた時の快楽を思い出し、無意識に反応するライダーの体。 そんなライダーを見て、マザーは慈愛に満ちた笑顔で話し掛ける。 「どうやら、私のミルクがお気に召した様ですね」 「ならば、好きなだけ私のミルクを味合わせてあげます。嬉しいでしょう?変態ライダーさん」 そう言って、マザーはその乳房から母乳を噴き出し、ライダーの全身へと浴びせ掛ける。 戦いの中で何度となく浴びせられたエネルギードレインと快楽を与える効果を持つ母乳。それが今、又、ライダーの体へ絡み付く。 今までとは異なり、スーツの上からではなく、生身に直接、浴びせられるマザーの母乳。それは今までの快楽を遥かに超える物だった。 素肌を包み込む母乳。それはまるで母の胎内にいるかの様な温もりをライダーに与えていた。 「う・・・ああ・・・」 あまりの気持ち良さに呻き声しか上げられないライダー。 「ふふ。全く、男性というのは愚かですね。女性の胸に手も足も出ないなんて」 「もしかしたら、男性型ではなく、女性型の怪人を生み出していたら、簡単に貴方を倒せていたかも知れませんね」 そう言いつつ、ライダーの体を引き寄せるマザー。 そして、大きく反り上がったライダーの性器に対して、念入りに母乳を浴びせていく。 その性器に絡み付いた、母乳は、まるで意志を持つかの様にライダーの性器を包み込んでいく。 ライダーの体を襲う、これまでとは比べものにならない圧倒的な快楽。 「うああぁっ!」 その快楽の前にライダーは絶叫と共に、精を解き放っていた。 「ふふ。私のミルクに耐え切れずイッてしまったのね・・・かわいらしい人・・・」 無様に射精したライダーを見て、慈愛の眼差しを向けるマザー。 そのまま、ライダーを見つめるマザーだったが、ふと何かに気付き、呟く。 「ああ、そう言えば、人間はこの精液を元にして生まれてくるんでしたね」 そして考え込むマザー。 「ふふ。面白い事を思いつきました」 そう呟いて、ライダーの体を引き寄せるマザー。 そして、マザーの下半身。おそらく女性器にあたる部分が開く。 そのまま、ライダーを抱き寄せるマザー。 大きな乳房をライダーの胸板に押し付け、反り勃ったライダーの男性器を自身の女性器の膣内へと飲み込み、きつく締め付ける。 想像を絶するかの快楽がライダーを襲う。 「う、ぐああぁぁー!!」 その凄まじいばかりの締め付けにライダーを絶叫し、正気を取り戻した。 そして、ライダーは自分がマザーと繋がっているのを知る。 「な、何を・・・!?くそっ!放せっ!!」 そう言いながら、マザーを振りほどこうとするライダー。だがマザーはライダーを放そうとはせず、その魔膣をさらにきつく締め付ける。 「くそっ!何でこんな・・・!?」 ライダーの問いに答えるマザー。 「ふふ。貴方に責任を取ってもらおうと思ったんですよ」 「責任だと・・・?それが何でこんな・・・」 必死で離れようとするライダー。 だが、力を失ったライダーにはどうする事も出来なかった。 「貴方が怪人を全て倒してしまったせいでまた、新たに生み出さなくてはなりませんからね。その責任です」 その答えを聞いた、ライダーの脳裏を恐ろしい考えがよぎる。 「ま・・・まさか・・・?」 「ええ。貴方の思ってる通りです。貴方の精子・・・貴方の遺伝情報を取り込み、新たな怪人を生み出そうと思います」 その答えを聞いて、絶望するライダー。 自分の遺伝子を持つ怪人が人間達を次々と襲っていく。それは何よりも恐ろしく、そしておぞましい事だった。 「くっそおぉぉ!放せっ!放せっ!放せぇぇーっ!!」 そう絶叫しながら、必死で自分の性器をマザーの膣内から引き抜こうとするライダー。 だが、今のライダーにはマザーの抱擁を振りほどく力は残っていなかった。 そして、さらに追い打ちを掛けるかの様に、自身の胸板に押し付けられたマザーの乳房から母乳が流れ出る。 その母乳は互いの胸を張り付かせ、ライダーの動きを封じるのだった。 「頼むっ!止めてくれっ!放してくれっ!」 無様に泣き叫ぶライダー。「ふふ。そんな泣き叫んで、本当、可愛らしい人」 「そんな反応されたら、私、興奮してしまいます」 そう言いつつマザーはライダーの体を強く抱き締め、その乳房をより強く押し付ける。 そして、マザーの昂ぶる感情に合わせるかの様に押し付けられた乳房から大量の母乳が流れ出て、ライダーの体へと絡み付いていく。 強烈に締め付ける魔膣、押し付けられた弾力のある乳房、そして全身に絡み付く母乳。それらが合わさり、ライダーの体を堪え難い快感が襲う。 そしてライダーはその精をマザーの膣内へと解き放っていた。 「あ・・・あああ・・・うああぁ・・・!」 マザーの膣内に射精(だ)してしまった為に、絶望するライダー。 「ふふ。射精(だ)してしまいましたね。でも、まだ、足りません」 「あなたの精、もっと私の膣内(なか)に射精して下さい」 再び、搾り取ろうとするマザー。 ライダーはせめてこれ以上は射精すまいと、耐えようとするが、魔膣が、乳房が、母乳が、マザーの全てがライダーを襲い、その快感の前にライダーの意志は呆気なく砕かれ、再び、マザーの膣内へと射精してしまうのであった。 何度も搾り取りながら、ライダーに話し掛けるマザー。 「そうそう。新たに生み出す怪人はすべて女性型にしようかと思います」 「男性型を造っても、貴方の様に女性に痛め付けられて喜ぶ様な変態になったら、困りますから」 嘲笑するかの様に話し掛けるマザー。 しかし、ライダーはすでにその嘲笑に答えられる様な状態ではなかった。 その意志に反して、何度も何度も搾り取られたライダーの精神はすでに破壊されていた。 マザーの言葉に対して、ライダーは 「頼む。放してくれ・・・許してくれ・・・いっその事、一思いに殺してくれ・・・」 壊れた様にそう繰り返すだくだった・・・ そしてさらに射精を強要され、何度も搾り取られたライダーはその意識を失い、気絶する。 ようやく、解放されたライダーはそのまま、崩れ落ちる様に倒れ伏すのだった・・・ そんなライダー見ながら、美しい少女の姿へと戻るマザー。 そして、意識を失ったライダーに笑みを浮かべながら話しかける。 「ライダー、貴方は殺しはしません」 「貴方にはもっともっと沢山の精を射精して貰わなければなりませんから」 「それに、貴方に見せないといけませんから。貴方の精を元に生まれた怪人が、私達二人の遺伝子を持つ娘達が人類を支配していく様を・・・」 「貴方に取っては何よりも屈辱的で、そして絶望的な光景でしょう?」 そう言って、マザーは美しい笑顔浮かべるのだった・・・ この日、人類の希望であった仮面ライダーは敗北した。 エピローグ、あるいはプロローグ? 仮面ライダーの敗北。それは人類に大きな衝撃をもたらした。 だが、ライダーのこれまでの戦いは決して無駄では無かった。 マザーには敗北したものの、マザーを除く、全ての怪人はライダーに因り打ち倒されていた。 その結果、マザーは新たな怪人を生み出す為に、人類への襲撃は一旦、止み、人類はわずかばかりだが、時間的猶予を手に入れたのである。 そして、何よりも大きな物はこれまでのライダーの戦いで得た、様々な実戦データだった。 人類はわずかに得た猶予の間にそのデータの研究を重ね、改造技術の改良に成功する。 かつては唯一人しか成功しなかった、ライダーへの改造手術。その成功率が格段に跳ね上がったのである。 身体に負担が懸かる為、ライダーへの適性があるのは女性と比較し、肉体的に優れている男性のみであったが、男性であれば、その成功率は100%であった。 そして、多くの男性達がライダーへと志願し、技術の進歩もあり、結果として、かつてのライダーを上回る戦闘力を持つ、多くの仮面ライダーが生み出された。 新世代ライダー達の誕生である。 しかし、その新世代ライダー達も希望には為り得なかった。 新世代ライダーの誕生に合わせるかの様に、マザーの新たな怪人を生み出してきた。 その怪人は今までの怪人とは大きく異なる特徴をもっていた。 かつての怪人は全て男性型だったのに対し、新たな怪人は全て女性型だった。 さらに男性怪人は怪人としての姿しか持っていなかっが、女性怪人は怪人態と人間態の二つの姿を持っていた。 すなわち、ライダーの様に必要に応じて変身する能力の得たのだった。 女性怪人達はその能力を最大限に利用し、人知れず人間達の中に入り込んでいく。 これに因り人類は疑心暗鬼に囚われていくのだった。 そして、何より、女性怪人達の最も恐ろしいところはその戦闘力だった。 かつてのライダーを大きく上回る新世代ライダー達の戦闘力、しかし女性怪人達の強さは、その新世代ライダー達を大きく上回っていたのだ。 その圧倒的な強さを持つ、女性怪人の前に新世代ライダー達は為す術もなく次々と倒されていく。 ライダーを超える女性怪人達の出現。 その事に対し、男達は恐怖し、ライダーに志願する者は段々と減っていき、ついには、ライダーになる事を志願する者はいなくなるのであった。 さらに悲劇はそれだけでは終わらなかった。 ライダー達を圧倒する強大な戦闘力。 人とは異なるながらも異界の美と言うべき、美しい容貌。 また、怪人の姿だけではなく、普段は人としての姿でいられるというのも大きかった。 そして、何よりも怪人であるが故に与えれた、老いる事も衰える事も無い永遠の若さ。 女性怪人の持つそれらの能力に魅かれる女性達が出てきたのだった。 そして、一部の女性達は自ら、マザーの元に下り、女性怪人への改造を望むのだった。 マザーはそんな女性達を受け入れ、彼女達が望む通り、女性怪人へ改造し、手駒を増やしていく事になる。 しかし、その一部の女性達の行為は人類に対して大きな裏切りだった。 残された人間達は彼女達に対して激しい怒りを覚えた。 その怒りは女性怪人への恐怖を上回り、裏切った女性達を倒すべく、多くの男性達が再びライダーになる事を志願し、多くの新世代ライダー達が生まれる事となった。 だが、それでも事態は一向に好転しなかった。 ライダーの中には僅かであるが非常に高い適性を持ち、女性怪人と対等以上に渡り合える者も存在した。 だが、そんな高い適性を持つライダーは本の一握りのみで、大半のライダー達は、女性怪人の強さの前に、敗北していく事となる。 そして、かつて人類を裏切り怪人となった女性達。 彼女達もその圧倒的な力でライダーを倒していく。 ただ、彼女達はそれだけではなかった。 彼女達はライダー達を嫐り、辱め、そして徹底的に犯し抜いていったのである。 そして、仮面ライダーを、何よりも男達を、その圧倒的な力で屈伏させ、犯す尽くす彼女達の姿を見て、かつて彼女達の裏切りを嫌悪していた残された女性達も、同じ様に彼女達の力を羨む様になる。 そして、年若い少女達を中心に多くの女性達がマザーに恭順の意志を示し、結果として、全女性の七割程が新たな女性怪人として生まれ変わる事なる。 何時しか、世界は人類VSマザーといった様相から、マザーと裏切った女性達を倒し、平和を取り戻そうとするライダー達とライダーを・・・男を屈伏させ支配しようとするマザー率いる女性怪人達の戦い、すなわち男VS女といった様相へと変化していく事なる。 そして、個々の能力でライダー達を大きく上回り、着実に数も増やしていく女性怪人達の前に、ライダー達は一人、また一人と敗北していき、やがて世界は女性上位の世界へと変わりつついくのであった・・・ 《完》
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のぶお http //news.livedoor.com/article/detail/5098229/ 俺も岩田規久男の本はいんちきくさいと思った インフレ&金利上げがくるとすれば、固定金利で不動産かっとくのが一番かね となると、N不動産部最強説!?(長期資金で不動産) fつい のぶおすげー懐かしいww 個人的にはインフレにとーっても期待してるけどね! しかし、インフレインフレいって何年たったことか(業績やらなんやらの反転を十数年言い続けるどっかの(妄信)企業そっくりやw) ちなみに、全部エクイティで買ってるヤツは、最強まではいかないかとw(まあ金の出所からすればある意味最強かw) ところで「借金は怖いからよくないよね!(キリッ」 ←(って誰の台詞か思い出せんのやがw妄信最強や) ちきりん http //d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100318 たしかに金持ち層は中国より日本に住みたいやろし、 てか世界中の金持ちが日本に住みたいやろし、 なんとかなりそうやな 日本国債の謎について外国人ファンドマネージャーに語る http //markethack.net/archives/51516440.html 障害者の人を馬鹿にするな! 日本の借金時計 http //www.takarabe-hrj.co.jp/clockabout.html 今は822兆あるらしい。 今後、何らかのキッカケ(変な政策発動→ヘッジファンドに火がつくとか)で 国債が暴落(金利が急上昇)した場合・・・ 株価はどうなるのか (上げ要因) 急激に円安になり、物価が上がる 物価が上がれば予想利益が膨らむ (下げ要因) 金利が上がるので、割引率が上がるか 金利が上がれば、キャリートレードくるから円高なるんじゃねえの?とか でもまあ、購買力平価が効けば、急激な物価高なので円は買われないか なんで今は大丈夫なのか 銀行、生保が買い取るから 郵政を再国営化したから f追 金利から上がれば、投資抑制で景気悪化して株価下がるのが普通。同時にインフレ起こしてれば、実質でどっち転ぶかはケースバイケース。 まー国債暴落なら基本は円安。なんたって消去法で買われてるくらいやし(嘘くせ)、暴落のきっかけは信用面以外ないやろしw(需要拡大によるインフレはそもそも無理しょw) しかし暴落自体が疑問や。企業部門に金があまってて、リスク回避的だから国債はけちゃうしな。時価会計やら新自己資本比率やらも買い増える要因やし。加えて、9割以上対内債務なんで、必ずしもダメ銀やダメ証の資本コスト無視った増資引き受けみたく無理やり価格保っているわけでもない。 そして、信用面での暴落時って日本が相当な糞な状態になってるやろ、物価だのなんだのいってる場合じゃないから、ある意味心配無用w(大地震とか戦争とか国が変わるとかそのレベルじゃねーかと。) おいき 投資抑制で景気悪化して株価下がるのが普通。同時にインフレ起こしてれば、実質でどっち転ぶかはケースバイケース それはそうなんやけど、単純に国債空売りしたら勝てるんちゃうの。 時価会計やら新自己資本比率やらも買い増える要因 今朝の日経に、「国債持ちすぎたらあかん規制に地銀がひっかかりだした」て書いてたで 追記 単純に国債空売りしたら勝てるんちゃうの。 「国債暴落時に株価どうなるか」は国債暴落を前提とした議論。空売りして勝てるかは、その前提がおきるかどうかによるからまた次元が別や。てか、個人的にはそんな簡単に下げれん気がする。そもそも景気悪化でデフレ見越すなら国債は金利低くても買われるし。一方で、国債の上値ってかなり限定的な気もするから単純にキャリってええんちゃうかとも思うw 今朝の日経に、「国債持ちすぎたらあかん規制に地銀がひっかかりだした」て書いてたで これか→http //www.nikkei.co.jp/news/main/20100314ATGC1300D113032010.html これって、銀行の規制詳しくしらんからなんともいえんが、単純に資本が足りてないかミスマッチのせいな気がするんだがw (国債のせい、株やらリスク資産に振り返ればリスク管理上問題なくなるって、違和感あり。そもそも株から逃げて国債増えたんやろし。) 某元BMついき そう、この記事。デュレーションが合ってないことを言ってるように見えるが、銀行のDて4,5年とも書いてるし、なんかよくわからん http //blogs.yahoo.co.jp/rosemarry/856231.html なんかインフレなって全て解決する気がしてきたww
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したらば3スレ/(035-054)復讐美少女 哀しみのペナルティキック サッカー マナ 女子高生 復習 河津美麗 空手「アイさん。」ランドセルを背負った私は、仏壇の前で泣いている女性に声をかけた。 まだ新しい額には、笑顔の美少年の写真があった。 「れい君を殺した奴、死刑になるよね?」 アイさん、36歳。彼女は私の唯一の「家族」だ。 5年前、両親を震災で亡くし孤児となった私を、アイさんは里親として育ててくれた。 「死刑にはならないよ、マナちゃん。」 アイさんは言った。「あいつは、未成年だもの」 私は、びっくりした。アイさんの一人息子、中学2年生のれい君を、顔が2倍に腫れ上がるまで殴って殺した「あいつ」が死刑にならないなんて。何も悪いことをしていないれい君を、ただ目があったという理由で、「あいつ」は嬲り殺したのに。 成績優秀、スポーツ万能、そしてイケメンのれい君は私の憧れだった。5年前の震災でれい君は父を失い、それ以来お母さんのアイさんを支えてきた。そして私を実の妹のように可愛がってくれた。 不良少年の「あいつ」は、先週の日曜日、近所の路上でたまたま出会ったれい君に暴行して殴り殺した。 れい君は空手有段者。それも中学の関東大会で入賞したレベルだ。その辺のヤンキーより遥かに強い。なのに、優しいれい君は喧嘩を売られて買う様な人じゃなかった。無抵抗を貫いて殺されてしまったのか。 もし、近くに私がいたら、助けられたかもしれない。 私、マナは小学5年生。サッカー少女だ。尤もれい君みたいに何か実績があるわけでもない平凡な選手だけれど。男子と喧嘩して勝つくらい根性はある。 (その後、アイさんに凄く怒られて謝りに行ったけれど。) 私だったらやり返すのに。負けたと思うけれど、殺されることはなかったかもしれない。 れい君の遺影は穏やかに微笑んでいる。バカだと思った。れい君が本気を出せば返り討ちにできたのに。 非暴力とか無抵抗とかおかしいよ。 私の眼から涙が噴き出す。 半年後、私はアイさんと一緒に電車に乗って、裁判所に向かった。このところ様子がおかしかったアイさんの眼は赤く腫れ、真っ青な顔をしていた。 家庭裁判所から逆送致され、刑事裁判にかけられた、れいくん殺しの「あいつ」の判決公判を傍聴するためだ。 「被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。」 眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな裁判官は言った。 執行猶予、それは刑務所に入らないこと。 MHKの日刊こどもニュースの上池さんが先月テレビで言っていた話だから、小学4年生の私でも分かる。 れいくんは死んだのに、「あいつ」は自由の身になる。少年の人権が大切だ、やり直す機会を与えよ、厳罰は人権侵害だーこれがオトナたちのルールだ。 泣き崩れるアイさん。力が抜けて、れい君の遺影を床に落としてしまった。私は、床に転がるれい君の遺影を慌てて拾い上げる。 「あいつ」に殴られて地面に転がる、瀕死のれい君を連想してしまったのだ。 その時、「あいつ」の声がした。 「ぎゃーぎゃーうるせえんだよ、おばさん!」 大声をあげて泣く、アイさんが罵倒されていた。 「文句あんなら俺とタイマン張るか?まあ、女なんて一発でぶっ殺してやるけれど。俺は空手で関東大会出た奴をぶっ殺すくらい強いんだぜ!お前の、息子のれいっ奴、糞弱かったぞ!」 「退廷を命じます」裁判官の厳しい声がする。 私の世界から音が消えた。 「おい、小平キヨタカ!ウチが大きくなったらお前と決闘するから、その時まで待ってろよ」自分でも聞いたことがない太くて低い声が、私の小さな口から飛び出した。 やっと、あいつ=小平キヨタカの名前が言えた。 小平は怪訝な顔をしてこっちをみたが、すぐに職員とともに出ていった。これ以上暴れて、執行猶予を取り消されたらたまらないと思ったんだろう。 身長185センチ、筋肉ムキムキの肉体。 あいつを倒すためには、子供の私では無理だろう。 でも、私は運動神経がいい。背ももっと伸びて、サッカーで身体能力を鍛えれば戦える。 うちのクラスのやんちゃな男の子がやっている空手教室に通うのもいいだろう。 控え室で、アイさんが言ってきた。 「マナちゃん、あんなこと言って逆恨みされたら、私たち殺されちゃう。やめなさい」 私は言った。 「アイさん。私が小平キヨタカを殺してあげます。」 アイさんの身体が震えだす。「あいつ」の名前を聞くだけでいつもこうなるのだ。 「大丈夫です。私が強くなってれい君の仇を討つよ。待っていてね」 私はアイさんを抱きしめる。まだ、アイさんのほうが大きかったが。昔、両親を失った私に、アイさんがしたように。アイさん自身、あの震災で夫を亡くしていたのに。アイさんとれい君は一家の大黒柱を失って、必死で生きてきたのだ。 その絆を断ち切った小平が憎い。 私、マナは鬼になった。 れい君を殺した小平キヨヒコが自由の身になって数ヶ月後。 マナの生活は一変していた。 私とアイさんの二人きりの生活が始まった。 何事もなかったように私は学校に行き、アイさんは仕事に出掛けた。 私は、アイさんに頼んで、近所の空手道場に通わせてもらうようになった。 サッカークラブの練習が終わった後、ユニフォームを道着に着替えて、2時間の稽古に励む。 体力的にきつかったが、いつか、れい君の仇を取るためだと思って必死で練習した。 サッカーで鍛えていた私は、蹴りが得意だった。 前蹴り、まわし蹴り、足刀、三日月蹴り。すぐにできるようになった。 街で小平キヨヒコにばったり会ったら、まずは金的に得意の前蹴りを入れて倒そう。そして、倒れた小平の頭をサッカーボールのように蹴って殺してやる。 私は黒い願いに導かれ、稽古に没頭した。 組み手の相手に「マナさん怖い」と恐れられるくらいだった。 「マナちゃん」 れい君の初めての命日の夜。 サッカーと空手の練習から真っ黒に日焼けして帰ってきた私を、アイさんは呼び止めた。 「最近、身体が男の子みたいに強くなって来たわね。どうしてそんなに鍛えているの」 私は一瞬固まったが、落ち着いて言った。 「私ね、スタントウーマンみたいな強い大人の女の人に憧れているの」 口からでまかせの嘘をついた。 だが、アイさんは騙せなかった。 「小平キヨヒコを殺すためね」 「違うよ。裁判のときは私、つい怒ってあんなことを」 アイさんの眼は厳しく、そして悲しげに潤んでいた。 「嘘おっしゃい。マナちゃんのスマホの履歴みたらわかるよ。小平キヨヒコがツイッターやってんの見つけたんでしょ。東京に引っ越したんだっけ、あいつ」 私は動けなかった。全部見透かされていた。 「人のスマホ、勝手に見るなよ!馬鹿!」私はアイさんに怒鳴ると部屋を飛び出した。アイさんにこんなこと言うのは初めてだ。 自分の部屋に籠もった。 しばらくして涙が出てきた。 れい君が死んだ日から今日までのことが込み上げてきた。やっぱりあいつが憎い。 「マナちゃん。」 階段の下から、2階に向かってアイさんの声がした。 「どんなに悪い人でも殺しちゃ駄目よ。マナちゃんが刑務所に入れられてしまうの、嫌だから」 そして、最後に小声で付け加えた。 「もしマナちゃんが殺したくなったら、ママが代わりに殺してやるから。」 アイさんは普段、私に対して絶対に自分のことをママ、って言わない。震災で亡くなった私のママに配慮しているからだ。 その言葉はれい君に向けられたアイさんの心の声か。 いくつもの季節が過ぎ去り、マナは中学校に入学した。サッカーに熱中する傍ら、空手も続けた。学業でもいい成績を修める彼女は優等生として学校では通っていたが、その実態はインターネットを通してある男を追い、その命をつけ狙う刺客だった。 学年でもトップクラスの成績に、自分で言うのはどうかと思うが結構美人。でも、私は恋もせず、友達もほとんど作らず、ただれい君を殺した小平キヨヒコの命をとることを考え続けた。 小平は、ツイッターで自分の近況を書き込む。 私の様な「カタキ」がいることを知らないのだろう。馬鹿な奴だ。 空手道場は勉強と部活で忙しくなったから辞めたけれど、毎晩のように突きや蹴りの練習はしていた。 れい君が殺されて3年がたった秋の日曜日、私はインターネットで知り合ったある女性の自宅へ行った。 河津美麗さん、28歳。身長170センチという女性としては相当な長身に、長く伸ばした綺麗な黒髪。 物腰は柔らかく、一見おとなしそうに見える。 彼女は被害者遺族だった。15年前、シングルマザーだった母親を不良少年にレイプされて殺されたのだった。 私と彼女は去年出会った。心理カウンセラーの仕事をしていた彼女をアイさんが私に紹介した。 私の良きお姉さんのような存在にしようと思ったか。 河津さんは留守だったのでその間、私は庭で空手の練習をした。小平キヨヒコはキックボクシングのジムに通っているらしい。身長185センチの20歳そこそこの格闘技経験のある大男を倒すためには、もっともっと強くならなきゃ。 寒い日だったが、私は気合を入れるため、革靴と白のソックスを脱ぎ捨てる。宙に小平の憎たらしい顔を思い浮かべて、蹴りを繰り出す。裸足の足裏は冷えるが、れい君の無念を考えたら何ともない。 「かっこいいわね。でもそんなんじゃまだ憎い奴は殺せないよ。」後ろで声がした。 私は、振り返る。 黒髪ロングの美しい女性。私より15センチも背が高い河津美麗さんだ。 「すいません。私、空手やっているんで、つい練習したくなってしまって。」私は謝る。恥ずかしい。 「何のために空手やってんの?」河津さんは聞いてきた。 「護身のためです。れい君の事件もあって私、怖くて。」咄嗟に答える。れい君のカタキウチだなんて言えない。 でも河津さんは知っていた。アイさんが、インターネットで出会った心理カウンセラーの女性。 騙せない。 「嘘ね。あなたが空手を習うのは、れい君だったかな?兄代わりだった優しい男の子の仇を取るためね。」 バレてしまった。 これから、この人は、復讐は何も生まないだとか、何があっても人を殺しちゃいけないとか言うだろう。 小平を殺してもれい君は帰らないとか。 綺麗事を言うのがこの人の仕事だ。 「河津さん、私を止める気でしょ?私、誰になんて言われてもやるからね。れい君の命は、奪っても刑務所に入らなくていいような軽いものじゃない!私、絶対小平に報いを受けさせるの。」 「ヤーッ!」 その時、河津さんは庭の大きな石を素手で叩き割った。硬そうな石がバラバラになった。 「河津さん?」私は言った。一体どうしたのか。 「マナちゃん、私も空手やっていたの。」 河津さんは表情を変えずに言った。 「今のマナちゃんと同じ年齢からね。同じ動機でね。」 河津さんの眼が潤む。 いつもの冷静なカウンセラーではなく、最愛の母親を殺された少女の顔だった。私と似てる。 「お母さんにあんなことして殺した少年が死刑どころか3年で社会復帰するって知った時、私は決めたの。私の手で死刑にするって。相手は強そうなヤンキーだったから、私はもっと強くならなくてはと思って。ずっと必死で空手をやってきたの。」 河津さんは話し続ける。いつもと違う、低い声だった。 「朝から晩まで身体鍛えて、高校も行かなくて。 あいつは出所して、近所に帰ってきたことが分かった。私は17歳になってた。けれどね殺さなかったんだ。」 「何故ですか」私は尋ねる。心臓の音が自分の胸からはっきりと聴こえる。喉が乾いた。 臆病な私は、自分が人を殺す計画は平気で考えられる癖に、他人の殺人の話を恐れるのだ。 「怖かったの。人を殺すってことが。あいつと同じ悪魔になりたくなかった。そしたらね。」 河津さんの眼から涙がこぼれ落ちる。 低温で押し留められてきた氷が春先に融解するような感じだ。 私達の季節は逆にこれから凍って行くのに。 「あいつは、再犯したの。3人も女性を襲って、殺害したの。私みたいな孤児がまた出てしまった。」 河津さんは震えていた。 「私が仇を討っていたら、罪なき人の命が救えたのにね。あいつはもうすぐ死刑よ。もう私の手では復讐できない。」 それから、河津さんが言った。マナちゃん、絶対仇を討とうね。再犯を未然に防ぐのは私たち遺族の義務よ。私の鍛えた空手技を教えるから、と。 私と河津さんの鍛錬の日々が始まった。 「マナ!もっと気合入れろ!そんな突きで男を殺せるかよ!」 河津さんの大声が耳を劈く。髪を短く縛り、空手着を着た彼女は、いつもの大人しい河津美麗じゃない。 「押忍!」私は力を込めて正拳突きを繰り出す。 私の苦手だった突きは次第に速く、鋭くなる。 毎週末、河津さんの自宅で続けた空手の稽古。 実戦的な武道に精通している河津さんは、私のサッカーと空手で鍛えた手足を殺人兵器に変えてくれる。 「女の身体は、男より脆くできている。けれど、女は男より痛みに強くできている。女の根性を発揮すれば絶対勝てるわ。」 河津さんの言葉を私は励みにした。 れい君、仇はもうすぐ取るからね。 私は決めていた。18歳まで待つと。 18歳になれば、大人と変わらない刑罰を受ける年長少年。自分は少年法を利用して己の罪を軽くした小平キヨヒコみたいにはならないと。 「俺、17歳だから死刑になるわけねえじゃん!」 アイさんの「犯人を死刑にしてほしい」という必死の意見陳述を嘲笑った、小平キヨヒコの下品な笑い顔が思い浮かんだからだ。 河津さんから空手を教わり、サッカーでは県高校大会でベスト4まで進み、そして勉強に励んだ私は、東橋大学に合格した。東橋大学は東京にある難関大学だった。よくあそこまで勉強したと、我ながら感心する。 でも私の目的は、勉強でも研究でも就職でもなかった。アイさんに頼んで上京させてもらうためだ。 「マナちゃんが東橋大学に合格するなんて思いもしなかったよ。本当に嬉しい。」 アイさんは笑顔で喜んでくれた。 これまで以上に頑張ってお金を貯めるから上京させてくれるらしい。 私は、胸が苦しかった。上京したらすぐ、私は殺人犯になるつもりだから。 出発の前日、私は寂しくなってアイさんの寝室で一緒に寝た。れい君が殺された日から数週間、憔悴するアイさんを元気づけるために四六時中一緒に行動していた時期以来だ。 アイさんの寝顔を見ていた。もう40過ぎなのに美貌は全く衰えない。河津さんのクールな美人顔とは一味違う、人懐っこそうなかわいい顔だ。 れい君に似ている。 私は、仏壇の前に行き、れい君の遺影を見た。 毎晩のように、このかっこいい顔を見て、うっとりしていた自分がいた。 「れい君、私は東橋に受かったよ。けれどね、すぐ辞める気なんだ。れい君の仇を討つんだ。」 備えてあった、れい君の愛用のミサンガ。 10年近く前、アイさんがれい君の空手の大会のときに買ってきたものだ。これを足につけて、れい君は戦っていた。 それを今度は私が足につけた。 絶対やり遂げる。 早生まれの私は、その日が18歳の誕生日だった。 上京して3週間たった雨の夜。 夜10時、東京でも郊外の住宅街は人通りが絶える。 私は、小平キヨヒコの住むマンションの前にいた。 河津さんが、小平の住所を私に教えてくれた。 私は小平の生活習慣を知っている。今日は平日の夜、小平はこれから24時間営業のスポーツジムへ行く。 彼が家から出て来たら襲いかかるつもりだ。 4月にしては寒い夜。静かな雨だ。 顔に雨粒がかかって、私は昨夏の女子サッカー県高校大会の準決勝の日を思い出した。 相手チームは全国優勝経験もある強豪だった。後半40分まで1対0で負けていた。フォワードの私が途中出場でピッチに入った。準々決勝で怪我をしてベンチスタートだった私。3分後に味方が得たフリーキックを私は蹴った。自分でも惚れ惚れするような美しい軌道を描いてボールがゴールに入った。あんな強烈なシュートを打てたのは、小さい頃からやってきたサッカーの練習だけでなく、河津さんとやってきた空手の稽古も功を奏したのかもしれない。 私の起死回生のゴールで駆け寄ってきたチームメートたちの笑顔を思い出し、胸が熱くなる。 マナ、勝てるって!という声が聴こえる。 だが、約30分後に私たちの最後の夏は終わった。 延長後半4分、私たちのキーパーのミスから勝ち越された。途中出場で体力が有り余っていた私は、味方を鼓舞しながら走った。延長後半アディショナルタイム。 私は相手からボールを奪い、ゴールへ走った。自分で決める。この仲間とまだサッカーを続けたい。 後ろから倒された。怪我していた右脚を痛めて私は転がった。相手チームのディフェンダーが反則覚悟でぶつかって来たのだ。 私は脚を抑えて、位置を確認した。やった!ペナルティーエリア内だ。審判は、ペナルティースポットを指さすに違いない。私が同点のペナルティーキックを叩き込んでやる。 ところが、審判はPKを取らなかった。どうして? 私たちは信じられない。逆にイエローカードを提示された。 シミュレーションだと判断されたらしい。 思い当たる節があるとすれば、私は既に怪我をしていたので、相手と接触した直後、重傷を恐れて踏ん張らずに倒れ込んだ。審判からしたらわざと転んだように見えたかもしれない。 もしもあのとき、日本の田舎の高校サッカー大会にVARがあったら私たちは決勝戦に進めたかもしれない。 判定に納得できない私の耳に笛の音が聞こえた。 試合終了。夏が終わった。 今日のような優しい雨が、ピッチに崩れ落ちた私たちを包み込んでくれた。 「PKを決めても誰も覚えていないが、PKを外したら誰も忘れない」って言った偉大なサッカー選手がいた。 もらえるはずのPKを蹴らせてもらえなかった私を、誰が覚えてくれるのだろうか。 ロッカールームでみんなで抱き合って泣いていた。 こんなに泣くのはれい君が死んだ時以来だ。 もしも雨が降り続けるとしてもやまない雨はないと思うより他はなかった。 刑務所に行くつもりの私の、青春の思い出を心に浮かべてみたら、玄関から小平が出て来た。間違いない、あの男だ。 さあ、れい君。強くなった私が仇を討つよ。見ていてね。 小平キヨヒコ、24歳。身長185センチ体重78キロの筋肉質の身体。金髪。格闘技で鍛えた丸太のような太い腕に入れ墨を入れ、不気味なまでに凶暴そうな風体の大男。 私は、7年前裁判所で見たときよりさらに強く怖そうな男に成長した小平に恐怖を抱いた。 だが、私だって成長した。私の拳は岩だって砕けるし、私の蹴りに耐えられる男なんていない。 背は小さいが私の身体は今や筋肉の塊なのだ。 「小平キヨヒコさんですか?」私は男に声をかける 「あ?そうだけどなんか用か」男は応える アイさんの門前でれい君を侮辱したあの日の声と変わっていない。 「私の名はマナ。あなたが殺した少年の母親に育てられた女よ」 「てめえ!」 小平は一瞬怯んだがすぐに調子を取り戻す 「大きくなったら決闘するとか言っていた奴か」 見かけによらず記憶力がいいやつだ。 もしかしたら小学生だった私の殺意表明にビビっていたのかもしれない。 「そう。私、空手強いからあんたをぶっ殺せるよ。あんたがれい君を殺したみたいにしてやるからタイマン張ろうよ」 小平は言った。 「おう、受けて立とうじゃん。俺はムショ行きたくないからお前を殺さないよ。ボコボコにしてエロいことはするけれどな!」 私は小平を睨みつけた。こいつ、どこまで舐める気だろう。 「ここじゃ近所の人に通報されちゃうからどこでやる?」 私が尋ねる。 「俺の行っているジムでやろうぜ。逃げるんだったら今のうちだぞ!」 私は小平についていった。逃げる気なんて毛頭ない。 5分ほど立って、住宅街を抜けた。 近くには公園があるだけ。夜だから誰もいない。 雨の音と小平の傘の音がするだけ。 私は笑えてきた。 殺し合う相手と相合い傘をする自分が滑稽だった。 小平に至っては私を倒したあとのことを妄想してニヤけている。 その時だった。 目の前に何かが光り、私の腹に入った。胃が熱くなった。 私はあっさりと転倒する。 小平が鋭利な刃物を持って、私の方を見ていた。 油断していた。 「馬鹿野郎、俺が決闘するとでも思ったか? ここで殺してやるんだよ」 私は腹を突かれて力が入らない。ピンチだ。 信じた私が馬鹿だった。 小平は私の上着を脱がせ、靴とソックスを取った。 私は抵抗できない。血はだらだらと流れる。 情けないけれど刺された位置が悪かった。 全く手足が動かない。 アイさん、れい君、仇を討てなくてごめんね。 お父さん、お母さん、2人がくれた健康な身体をこんな男に汚されてすいません。 私の目から涙が滴り落ちた。 「本当に馬鹿だな、無抵抗主義のれいとかいう奴と一緒だな。武道やってる奴なんて、やられてもやり返さないカスとかお前みたいなお人好し馬鹿ばっか」 小平が笑う。 れい君を馬鹿にした。 優しいれい君をまた馬鹿にしやがった。 私の身体が軽くなった。 もう自分のことなんてどうでもいい。 「れい君の仇、いい加減にしろ!」 私は叫ぶと小平の胸に跳び蹴りを入れた。 自分でも信じられないほど身体が動く。 「クソ!」小平はナイフを取り落とす。 私の蹴りを受けて気絶しないのはそれでもこいつは余程の格闘家だからだろう。 着地した私に小平はストレートパンチを入れる。 私はすんでのところで交わし、逆に河津さん秘伝の突きを小平の金的に入れた。 「うわあ」小平の情けない声。 私の腹から痛みが消えた。腹の切り傷から流れる私の血より目の前の憎い男から多くの血を流させてやる。 小平の必死のハイキックが飛んでくる。 私は小平の足を手刀で受け止める。 その辺の格闘家の蹴る力より、毎日逆立ち腕立て伏せを続けた私の腕力のほうが強い。 「小平キヨヒコ!れい君の痛み、アイさんの悔しさ、全部思い知らせてやるから覚悟せえよ」 私は小平の顔面にまわし蹴りを当てた。 小平の鼻は折れ、歯が吹っ飛ぶ。 小平は私の腕を掴む。足をかけて投げる気だ。 もしかけられたら形勢逆転していただろう。 しかし、サッカーで鍛えた私の俊敏さがここで活きた。 私は逆に小平のもう一方の腕を捻じ曲げてやった。 小平はなすすべなく離れる。 私は裸足の足を自らの頭の上に上げた。 得意の踵落とし。 頭にバッサリと決めたら小平は、泡を吹いて倒れてしまった。 素足で壁や岩を蹴り続けた私の足を舐めたらいけない。 それでも小平は私に抵抗してくる。 私は小平の首を締め上げる。 真っ青な小平の顔。まだまだれい君の苦しそうな死に顔に比べたら甘い。 私は小平の腹を何度も殴った。 卑怯にも私の腹を刺した仕返しだ。 小平の口から血が溢れる。 「汚えな」私は嘲笑う。汚いのは私の言葉遣いなんだが。 「私の力を思い知ったか」 小平は手を合わせてきた。 命乞いか。しかし、もう遅い。 「私はあんたが思うほどお人好しじゃない。れい君を殺した報いは受けてもらうよ。」 倒れる小平を近くの公園の木にもたれさせた。 私はトドメを刺すことにした。 足に力を込めた。 審判(裁判所)の判定は間違っている。 こいつは更生しない。 私が、ペナルティーキックをこいつにお見舞いしてけじめをつける。 私の頭に、ペナルティーキックの笛がなる。 私は小平の首に鋭い前蹴りを入れた。 私の足は小平の喉を突き、その息を止めた。 人生で最も上手く決まった蹴りだったと思う。 小平は硬直して崩れ落ちた。 脈と呼吸が止まった。やった。 私は息絶えた小平の顔を踏みつけた。 腹の傷の痛みが戻ってきた。
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幻想入りしたら二心同体 動画リンク コメント 幻想入りしたら二心同体 392人目 作者 ひとこと 主人公 四方山 mylist 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
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三ページ目-蓬世円 極ヶ原強也と穏健派による演説。過激派による演説。お互いに擁護し、野次を飛ばし合い、そこそこの白熱を見せる。蓬世円は何もしなかった。立候補者の演説の為に与えられている時間も蓬世円は総務の呼びかけに対し、目を閉じ首を横に2、3度振っただけで席から立たず、結局一言も発する事は無かった。 警護員の活躍もあり、滞りなく進む選挙戦。全ては順調。いつも通り。 そして、投票時間となった。 年齢、性別、所属に関係なくランダムに名前が呼ばれた順に投票が行われる。 一人目、白。蓬世一票獲得。 二人目、白。蓬世二票獲得。 三人目、白。蓬世三票獲得。 四人目、白。五人目、白。六人目、白。七人目、白。八人目、白。九人目、白。十人目、白。 「彼…、過激派でしたっけ?」 「いや、違う…、ぞ」 十一人目、白。十二人目、白。十三人目、白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白。白…。 穏健派の顔色が変わる。同時に過激派と無党派の顔色も変わる。三十票を越えた辺りで、大講堂内は異様な雰囲気に包まれていた。穏健派、過激派、無党派、今のところ全員が蓬世円に投票している。 おかしい。明らかにおかしい。が、何がおかしいのか分からない。目の前の光景が異常なのは分かる。だが、何故そうなっているのかが分からない。 総務も堪らず投票を一時、中断する。 洗脳? 能力が使用されたのなら16名の理事が何かしらの反応を示すはず。だが、頼みの綱の理事会の面々もお互い顔を見合わせ何が起こっているのか理解出来ていないようだった。蓬世円に投票した穏健派の一人に穏健派の面々が詰め寄る。なぜ蓬世円に入れたのか、と。当事者は何故自分が責められているのか理解できていない様子だった。自分は穏健派で、自分の意思で白い石を置いたという。 傍聴席の能力者達も一体何が起こっているのかという顔で選挙の様子を見つめている。大講堂内のほぼ全員が何が起きているのか理解できていなかった。 2人を除いて。 「どういう…、ことです?」 「分からん…。分からんが何かしらの力が働いている、と考えるのが妥当だろう」 「何かしらの力とは…?」 「それが分かんねぇんだ。おそらく全員。どう見ても怪しいのは蓬世なんだが、彼女が何かした様には見えん。洗脳ってのは相手の五感に訴えかけて操るもんだ。彼女はこの場に来て一言も発していないし。登場時に視覚からの洗脳にしたとしても俺達や理事は彼女と目を合わせていない」 「大講堂外からの干渉は…」 「ここにいる全員にか? …、それこそ無いだろう」 何かアクションを起こさなければこのまま投票は続行される。この状況を打破したいが、どうしたらいいのか分からない。そんな焦りが穏健派から見てとれた。 「蓬世!!何しやがった!!?」 我慢できなかったのか、穏健派の一人が大声を上げる。静まり返る大講堂。蓬世円がこの場に来て始めて、口を開いた。 「…私は何もしていないわ」 感情を微塵も感じさせない、静かで穏やかな口調だった。声色は鈴の音のように高く金属的な印象を受ける。抑揚が少なくあまり人間味が感じられない。その一言に気圧されたのか続けて口を開くものはいない。蓬世円を支持していたはずの過激派達もこの異常過ぎる事態にただ顔を引きつらせていた。 結局、投票は一時中断され休憩時間のようになってしまった。言葉を発するものは無く、皆、無言のまま。自分の頭の中を整理する為、大講堂の中をうろうろと歩き回る者もいる。 おかしい。私の見た未来では全て大差をつけて極ヶ原強也が勝利している。全ての未来を見たわけでは無いが私の経験上70万109通りの未来で結果が同じならばその未来は確定となる。極ヶ原強也の勝利は凡そ、その100倍の数の未来で確定している。 ――まさか、書き換えられていた…? いや、時空や次元を超えてその世界を創り変えるなど在り得ない。この島において在り得ないという言葉は通用しないがそれは在り得ない。もし、そんなことが可能ならそれこそ神の所業だろう。…少し、調べてみる必要がありそうだ。 蓬世円をチラリと見てみると、無表情で真っ直ぐ虚空を見ていた。微動だにしない。人形かお前は、とツッコミたくなる衝動を抑え、さりげなく観察。 蓬世円。 腰まで伸ばしている黒髪は美しく小柄で可愛らしい少女、ではなく大学生なのだが。少年のような体型をしている。4年前の春。学園にやってくるやSランク判定を受け、生徒会への所属が決定した。その後、防衛部へ所属し、その他を寄せつけない圧倒的な戦闘能力が評価され、たった3ヶ月で防衛部代表へと為り上がる。その人間味の無い無慈悲な判断と行動から『(生徒会史上)最強最悪の規律システム』などと一部からは蔑称されるが、今となっては極ヶ原強也と双璧を成し生徒会には欠かせない人物となっている。 過去の経歴は不明。(肌が白いから)北国の出身らしい、という噂がある程度。大学部に属しているが講義に出ている姿は確認されていない。普段は生徒会の為に割り当てられた一角を自分専用の個室にして、そこに篭っているそうだ。学園や理事会からは特に咎められてはいない。それは偏に彼女の学力が常人のそれを遥かに凌駕しているからである。編入時に行われる一教科100点満点、全17教科の試験で1710点を取ったという話もある。どこから10点が出てきたのかは分からないが。 前に、彼女の実態を暴くため尾行をしようと馬鹿の発案で行ったが、彼女は専用個室(通称、蓬世部屋)から出てきた瞬間に得意の瞬間移動で消えてしまったので無理だった。そういえば、どこに住んでいるのかも知らない。この環凪島には住んでいるものと思われる。 とにかく彼女はあらゆる面で異常。人間を越えつつある存在、らしい。 と、まぁ、概要だけならこんなものだが、この件に関してはあまり役に立たない情報だ。この異常事態はおそらく何らかの能力によるもの。問題は一体誰が何の目的で蓬世円を生徒会長にしようとしているのか。蓬世円自身が行っている可能性も低くはない。そもそも彼女の能力は謎が多い。空中浮遊や瞬間移動などを行っている姿しか確認されていないし、防衛部として多くの戦闘をこなしているが、その全てで彼女は攻撃に特殊能力を発動していない。その身一つで能力者達を蹴散らしているのだ。まぁ、その時点で異常なのだが…、身体能力強化系なのだろうか。いや、それだと瞬間移動は超スピード等でこじつけるとしても空中浮遊の説明がつかない。 …。……。やはり…、…ここは、究極に気が乗らないが、私も出来る事なら関わりたくないが、しかし、事態を打開するにはこのやり方しかないのではないか、そもそも時間が無いのだ。悠長に対策を練っている暇は無い。総務部が投票を再開してしまえば、おそらく蓬世円が勝つ。一度、決定してしまえば生徒会規則により覆すことは出来ない。やはり、私が動くしかないのか。未来と現実が食い違っていることを知っている私が、最強最悪の規律システムこと蓬世円にコンタクトを取るしかないのか。 青い顔でぶつぶつと私が自分の運命を嘆いていると、選挙中断と同時にどこかへ消えていた七五三野先輩が「なになに?面白いことするの?」という顔で、肩を叩いてきた。 「…」 「ドンマイ!」 まだ何もしてねぇよ。殺害衝動を抑えつつ単刀直入に切り出す。 「恐らく…、この異常事態の原因は蓬世円本人、ではないでしょうか?」 「…、六道」 「はい」 「正解」 「ありがとうございます。…、…は?」 「いや、正解だって」 「…、何が?」 「お前が言ったじゃないか、この件は蓬世自身が起こした事だって」 「え、あぁ…」 こうして、私、六道太平は何をするでもなく事件の真相へと辿り着いた。 しかし、それは辿り着いただけで何の解決にも至っていない。ラスボスが誰なのか判明しただけで、これからそのラスボスをどうにかしなくてはならないのだ。推理小説ならここで終わりなのに。 「…。で、どうするんです?」 あれ? なんか忘れているような? まぁ、いいや。 「どうするって、何を?」 髭面の男子学生が顎に人差し指をあて首を傾げる。髭の生えてない美少女だったら可愛かっただろうに。 「蓬世円ですよ。このままだと蓬世円が生徒会長になっちゃいますよ?」 声を殺して訴えつつ、肝心のラスボスを確認するためチラリと見てみると相変わらず微動だにせず虚空を見ていた。先ほどと絵図らが全く変わっていない。本当に生きているのだろうか。そういうロボット的な何かじゃないだろうな。瞬きはしているので生きていることは確認できた。 「いいんじゃない? 蓬世が生徒会長で」 「は?」 思わず声が出てしまった。 「…じゃあ聞くが、蓬世が会長になるとなんで問題なんだ?」 「う…」 相変わらず重要な部分だけは的確に突っ込んでくる。そうだ。理由が無い。自分の見ていた未来と違うから。というのが理由だが、それは私自身にしか通用しない理由だ。私は自身の能力の事を他人に明かすことができない。 「…」 答えに詰まる私を真っ直ぐに見てくる。私はこういう人間が苦手だ。不安は無いのだろうか。もし、とんでもない答えが返ってきたら。その結果、自分の予想できない事態に陥ったら。見えないものに対する恐怖は、分からないものに対する恐怖は無いのだろうか。 人は自分が分からないものに対し恐怖を抱く。それは、分からないということは何が起こってもおかしくないということだから。極論、今見えていないということはその後、何が見えてもいいということ。そんなわけはない。誰にだって見たくないものがある。もし、目を開けたときにその見たくないものが見えてしまったら、それが恐怖の根源。 人は暗闇を恐れた。見えない領域を分からない領域を出来るだけ減らすため、明かりを手に入れた。文明は進歩した。火は電気へと変わり、山へ上り、海へ潜り、この星を全て見るため、空よりも高い場所へ目を配置した。 しかし、どれだけ高性能な目を持ってしても見ることができないものはあった。古代より人が見たいと願いながらも、決して見ることが出来なかったもの。 ――未来。 未来を恐れる。予測したいと願う。 あの時、この先何が起こるのか分かっていれば…、そんな思いを抱いた事が皆あるのではないだろうか。 人の不安は尽きることが無い。全てを見通し、もっともっと安心したい。そんな幾億の人々の願いが形となったのが私の能力なのかもしれない。そんな彼らは知っているのだろうか、見ることの恐怖を。見えてしまうことの怖さを。 返答に困り「あー」とか「うー」とか、あーうー語を喋る私を見かねたのか七五三野先輩が先に口を開いた。人間にあーうー語は理解できない。 「お前が見た未来とは違うのか?」 ? 今、なんて言った? 「いま…、なんと…?」 この人はことあるごとに人の思考を奪うから困る。 「お前の見た未来では、極ヶ原が生徒会長になっていたんだろう?」 その言葉を耳で聞いて、鼓膜に触れた音波振動をキチンと神経に伝達する。頭の中でよく噛んで、飲み込んで、言葉の意味を理解したとき、私の思考回路は完全にショートし弾け飛んだ。周りの雑音が聞こえなくなる。七五三野先輩以外のものが見えなくなる。頭が働かない。 私の世界は完全に停止した。 頭の中ではクエスチョンマークが土砂降りの様に降り注ぎ、積みあがり、崩れては積みあがる。脳内から溢れたクエスチョンマークが耳や鼻から蛇口を捻って出てくる水のように出ていたかもしれない。なぜ、この人は私の能力を知っているのだろうか、その疑問がようやく頭に浮かんだとき、脳内の全てのクエスチョンマークは天空より落ちてきた巨大な一つのエクスフラメーションマークに潰され吹き飛んだ。 「あ…!、が!、な!な、んで!」 「お。動いた」 ちょっと外そうか。そう言うや七五三野先輩は錯乱している私の手を引いて、大講堂の外へと向かう。 その後ろ姿を蓬世円が目線だけで追っていた。 大講堂の裏手側。大講堂の正面は広場となっているが、裏手側は林となっている。 大講堂を出た私達二人は、柔らかい午後の木漏れ日を浴びながら進む。先を行く七五三野先輩が足を止めたのを見て、私も止まる。彼が振り返ると同時に私は口を開いた 「なぜ、知っているんです…?」 眉を顰め、訝しげに訊ねる。ショートした頭は歩いているうちにすっかり元に戻っていた。これも計算の上だろうか。 「…、見ちゃった☆」 砕けた口調で告げられた予想通りの衝撃の事実に、盛大なため息で返す。 「そういうことは早く言ってくださいよ」 「いや、なんかタイミングを逃してしまってな」 ハッハッハ、と他人事のように笑っている。こちらとしては笑い事ではないのだが。 七五三野空海。能力名は『御厨人窟の虚空法』。 能力効果は、その目で見た他者の能力を理解すること。理解とは、発動条件から能力効果はもちろん、効果範囲や持続可能な時間から、さらには弱点に至るまで、その能力に関する事柄「全て」である。まさにチート。無能力者相手には全く役に立たないが、我々、能力者にとっては脅威の一言に尽きる。なんせこの能力の前では自身の能力に関する隠し事が一切出来ず、プライバシーもへったくれもなく個人情報だだ漏れ放題という恐ろしい能力である。 味方にすれば自身の能力の強化ポイントなどを教えて貰えることもあるが、一度、敵対すれば、あっという間に自身の能力の弱点を看破されてしまうだろう。弱点など存在するかどうかも怪しいSランクはいいとして、他の能力者にとってこれほど恐ろしいことがあるだろうか。『御厨人窟の虚空法』のランク判定は「D」だが、個人的にはそこらのAランクよりも遥かに怖い。 見られなければいいだけの話しなのだが、この能力のポイントは‘能力者’ではなく‘能力’を見て理解するところにある。能力を発動している能力者は勿論のこと、能力者自身が見えなくても居なくても能力効果やその空間、能力によって起こる事象や現象さえあれば発動条件を満たしてしまうのだ。故に、常に能力を発動しているものや待ち伏せ的な能力も、この男の前では丸見えである。この学園で一体、何人が知らず知らずに自分の能力の詳細をこの男に理解されてしまっているのか。あぁ、怖い怖い。 脱力している私に代わって、ヒゲが話しを戻した。 「で、蓬世に会長になられるとなんか困るんだろ?」 「えぇ、困るというか、私自身が具体的にどう困るというわけではないのですが…」 「なんとかしたい、と」 「はい」 どうやらこちらの事情は把握しているらしい。 「まぁ、ね。そういうのはやっぱさ本人に言ってみるのが一番だと思うよ」 「本人に、って、相手は生徒会の最終兵器ですよ?」 「取って食われやしないさ」 「爆発したらどうするんですか」 「と、いうわけで」 と、いうわけで?。 「呼んでおいたぜ!」 ビシッ!と親指を立てる七五三野先輩の背後に音も無く現れたのは、この件の中心人物。今回の第3の主役。あぁ、もう主役だらけでややこしい事この上ない。 今度は本当に時が止まった。この男、もしかして本当は時間を操る能力者なんじゃないだろうか。もしくは私が。っていうか、あの人って呼んだら来てくれるんだ。一度も話したことないから、なんか遠巻きに見ているだけだったけどこれからは少しずつ近寄ってみようかな、とかいう不思議な親近感を抱き現実逃避を企てたが、擦り寄ってきたヒゲの一言で現実に引き戻された。 「お前が何か告白したいって理由で呼び出したから、あとは頑張れ☆」 とんでもないことを耳打ちすると、うふふふふ、とか言いながら、私の後ろに隠れる。事態が急転しすぎてリアクションも取れなければ突っ込みを入れることも出来ない。 目の前には、蓬世円。その距離2m、といったところか。言い知れぬ恐怖感から顔を直視できず、目線は足元。あ、ちょっと浮いてる。影と身体が繋がっていない。足、ちっちゃいなぁ。いつでも浮いているという噂は本当だったぞ学園のみんな。下ばかり見ているわけにもいかないので目線を左右に動かしながら、少しずつ視線を上に。これではただの挙動不審な男だ。風紀委員が取り締まりに来るんじゃないのか。全体的に細い。というか小さい。肌、白いな。小柄なのは知っていたが、身長150cmも無いかもしれない。手もちっちゃい。こんなにも小柄で華奢な女の子が最強の能力者だったのか。 さぁ、と一陣の風が吹き抜ける。風に遊ばれた長い黒髪をかき上げる仕草に不覚にも見惚れてしまった。その顔は、なんというか綺麗だった。綺麗なのだが人間味が無い。精巧に作られた人形のような美しさがそこにあった。 ぼーっと見ていると、目が合う。深い。吸い込まれそうな深い瞳だった。こちらも同様に人間のそれらしさが無い。 見惚れている私が不思議だったのか、蓬世円は滑るように距離を縮めてきた。その距離50cm。0、3蓬世である。 真っ直ぐに私の目を見てくる。あぁ、この人も後ろの男と同じタイプの人間だ。分からないということを恐れない。世界に正面からぶつかっていける強い心の持ち主。 うろたえたのは私だった。もう二度と彼女の目は見れないだろう。そんな気がした。二歩、後ずさりをすると背中に誰かがぶつかった。無言でその男を見上げると不敵な笑みのまま、くい、と顎だけで促された。そうだ。話しをする為に、わざわざ来てもらったのだ。黙っていても始まらない。意を決して放った私の質問は 「…、あ…、あな、貴方の能りょ、能力は、なん、何です…、か?」 中学生向けの英語教材の例題文を和訳したものを全力で噛んだような、要するに最低だった。後ろから押し殺した笑い声が聞こえる。蓬世円はそれを日本語として聞き取れたのか 「それは私の口からは言えないわ」 良く通る綺麗な声だった。先刻、大講堂で聞いた、少し金属的な印象を受ける高いソプラノ。っていうかあの蓬世円と会話をしているのか私は。理由を聞かれると困るので友達に自慢は出来ないから日記に書こう。日記なんて書いたことないけど。 「…。特級保持…、ですかね」 最初よりは大分マシに喋れている。 「貴方も?」 蓬世円が意外そうに聞いてくる。 「えぇ。わた…、私も、能力名及びその効果の他言は第一種機関から禁じられています。」 「なら分かるでしょ? 言えないわ」 「それでも、今回の件をそのままにしておくわけには」 「しょうがないのよ」 今回の件という単語で全てを理解したのか、蓬世円は答えた。 「…しょうがない、とは?」 「それは言えないわ」 いけない。「しょうがない」と「言えない」で問答がループしだした。このままでは無限ループだ。 私がどうにか話しを進めなくては、と思案していると、後ろで木偶のように突っ立っていた男が、すぅ、と私達の横に動いた。なんだこの構図。三者面談? そして、ヒゲは私と蓬世円の肩にポンと手を置いた。 何してんだテメェ。ふざけてんなら帰れ。見ろ。わざわざ来て頂いている蓬世円さんが不思議そうな表情になったじゃねぇか。 「…、なるほど…!」 七五三野先輩は、いかにもな顔でそう呟いた。瞬間、蓬世円の姿が掻き消える。本当に人って消えるんですよ皆さん。えぇ、そりゃあもう夢だったんじゃないかっていうくらい簡単に。消える瞬間を擬音で表すこともありますが、実際は音なんてしないんですね。初めて知りました。あぁ、混乱しすぎて字分に敬語が混じってる。 そして消えると同時に、蓬世円は私の左側に現れる。超々速の移動術に私は呆気に取られるばかり。 「何をしたの?」 これが最終通告だ。と言わんばかりの威圧感。 一言目なのにね。流石です。 交渉の余地はありませんね。分かります。 美しい声色が、一転、冷気の針のように私の半身に突き刺さる。 「そいつは言えないねぇ…、と言いたい所だが、ま、アンタになら教えても問題ないな。俺の能力名は『能力手帳(ウソ)』触れたりした能力者の能力を知る(ウソ)。因みにコイツは『一念五百世』あらゆる時空や次元を超えて、全ての世界を見る能力だ。特級保持同士仲良くしようぜ」 蓬世円は突然ベラベラと喋り倒す男を怪訝な顔で見ている。というか私の能力まで喋る必要は無いのでは。そして、お前は特級保持じゃないだろ。 「で、七五三野先輩。しょうがないとはどういう意味です?」 「そのままだ。蓬世は負けることが出来ないんだ。蓬世はあらゆる勝負に必ず勝つ」 負けることが出来ない? あらゆる勝負に必ず勝つ? なんだそりゃ。 「その能力とは…」 「『拘束不可』と『絶対規律』よ」 蓬世円自身から、観念したような呆れたような口調で告げられた。感情が薄すぎていまいち掴めないが。 「私はあらゆるものに干渉されずに、全てに干渉することが出来る」 「さらに、その二つの能力を意識化と無意識下の両方で発動している」 蓬世円に七五三野先輩が続く。 チートここに極まる。 しばらく蓬世円と、ヒゲの説明を聞いていて思ったことは一つだった。 つまるところ蓬世円という能力者の能力は、世界そのものを自分の都合の良いように改変してしまう能力に近い。それを規則(ルール)として規程するのだ。 気に入らないルールがあれば無視し、欲しいルールがあればそれを創る。 浮いているのも瞬間移動も、それの応用だという。 さらには因果や遠近や物質の弾性や質量保存や重力などの法則から、法律や校則といった暮らしの中での決まりごと、決まりごとではないが我々が社会生活の中で自覚していく常識と非常識、そして善悪や平等や感情や記憶などといった形の無いもの、そしてこの世に存在する特殊能力まで、全てに作用できるらしい。 もう神様の力といってもいいだろう。世界の規律を根底から覆す能力。 極論だが『蓬世円が何をしたとしても罪には問われず、悪い事もしていない』というルールを世界基準として創れば、その瞬間にこの世界の常識と規則は改変される。その後、蓬世円が大虐殺を行おうと世の人々はそれが常識で当たり前の日常だとしか思えなくなる。 『最強最悪の規律システム』とはよく言ったものだ。 最後に蓬世円は『絶対規律』は今まで一度しか発動していないと付け加えた。 「どんなルールを創ったんだ?」 ヒゲが興味津々といった様子で尋ねるも蓬世円がその問いに答えることは無かった。私もヒゲも見えないものまで視る能力だが他人の頭の中や心までは覗けない。 そして、先ほどの「しょうがない」について。 蓬世円はこの世の全てに対し能力を行使でき、尚且つそれを「意識化と無意識下の両方」で発動しているのだ。意識的に発動しているものは、重力無視や瞬間移動時に発動する時空連続性の否定など。無意識下で発動しているものも様々だが今回、問題となるのは「善悪に関する因果」となる。蓬世円は常に自分が正しくなるよう能力を発動している。無意識下での能力は「発動している」というよりは「発動してしまう」と言った方が正しい。我々の心臓が意識せずとも勝手に動いており、自力で止めようと思っても止められないのと同じく。 善と悪。この二つの概念に関して蓬世円は必ず自分が善であり、正義となるように因果を弄ってしまう。「正義が勝つ」「勝った方が正義」どちらの論理にしろ、片方が絶対的に定まっている蓬世円は負けることがない。負けることが出来ない。例えどのような状況であっても蓬世円という人物と敵対した時点で勝ち目は無い。なるほど。よく分からん。 そして、それはこの選挙戦も例外ではないということ。 「…なるほど」 とりあえず言っておく。 「ま、そういうことだ」 「っていうか…、七五三野先輩…」 「ん?」 「蓬世さんの能力も最初から知ってたでしょ?」 「…。もちのロンですよ!」 「ですよね!だから一人だけ、あんな余裕だったんでしょ!あぁ、なんか前半一人で真剣に悩んでたのが馬鹿みたいだ!気付けよ俺!じゃあ、「分からん…。分からんが何かしらの力が働いている、と考えるのが妥当だろう」とか言ってたのはなんだよ!?」 「横で六道が面白いことになってたから」 「…」 つまり、つまりだ。この男は全てを知りながら私が面白いことになっている、という理由だけで放置を決め込んでいたということか。 「wwwww、バーカwwwww」 「笑い事じゃねぇぇぇえええ!」 七五三野先輩とのいつものコントは5分ほど続き、蓬世円の珍しく苛立ちと言う感情の篭った冷ややかな「ねぇ」という一声で幕引きとなった。熱くなっていた身体が急速に冷える。 「貴方達の事情も分かったけど、どうするの?」 「というか、蓬世。お前なんで会長選挙に?」 七五三野先輩が蓬世に質問で返す。 「さぁ。私も今日、知ったわ」 「やっぱ、祭り上げられただけか」 一人、納得したように頷くヒゲ。 「昨日今日で出馬出来るんですか、会長選挙って」 素朴な疑問をぶつけてみる。 「対立候補がいなくちゃ選挙にならんだろう?」 なんだそれは。 「それは、つまり」 「面子を保つ為だ」 なんという。なんということだ。つまりこれは、今回の会長選挙は最初から出来レースだったのだ。いや、正確には出来レースになるはずだった。極ヶ原強也が生徒会長になるための儀式のようなものだったのだ。通りで私の未来にも出てこないはずだ。極ヶ原強也が生徒会長になる。既にこれは決定済みの未来と言っていい。しかし、奇しくもその出来レースに放り込まれたのは全てを押し潰す最強最悪の事象操作の能力者。運命の歯車は瞬く間に狂い、未来は劫分の一の確率で変更を余儀なくされた。否、それこそが運命の意思だというのだろうか。6番目の女神は何を思うのだろう? 立候補者が一人しかいなければ、その者が当選するのは当然のこと。極ヶ原強也という人物は人の上に立つ才能がある。圧倒的な支持率。それに対抗しようと出馬する者は、勝ち目の無いその戦いに挑もうとする者は、確かにいないだろう。しかしながら、この選挙は必要だ。数%の意思を汲み上げる為に。例え、出来レースであっても。公正な審判の元、生徒会長は誕生したという事実が必要なのだ。必要悪として槍玉に上げられたのは蓬世円。結果は、悪が善になったせいで滅茶苦茶。何故、よりにもよってこの人を選んだのか。まぁ、立場としても防衛部代表として申し分ないし。Sランクだし。彼女の能力を知らなかったなら仕方が無いとも言える。…。…一つ。一つだけ考えたくないことがある。誰かが蓬世円を利用して、この選挙を壊そうとしていたら。 馬鹿な。万に一つも特級保持者の能力が露呈するなど有り得ない。それに事前に計画されていたものであれば私の能力が見落とすはずもない。 ――この島において在り得ないという言葉は通用しない。 先ほどの自分の言葉が脳裏に過ぎる。実際にこの現実は万に一つどころか億兆京垓を飛び越え、那由他の彼方で起こっているのだから。 「…。辞退とかは?」 「この状況でか?」 「そもそも納得しないわね」 「…。その前に極ヶ原さんはこの事実を知っているのでしょうか」 「知らんだろうな」「知らないでしょうね」 2人がハモる。 「知っていたら、こんな選挙認めるはず無いわ」 「だな。あの馬鹿は馬鹿正直で馬鹿みたいに真っ直ぐだから」 七五三野先輩が半分笑いながら言う。馬鹿馬鹿言い過ぎだろ。未来の会長だぞ。 「…誰が馬鹿だ。誰が」 よく通る清潔感のある低めの声。いつの間にか、その馬鹿がいた。
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殺したらおわり(後編)◆hqLsjDR84w ◇ ◇ ◇ 土門が吹き飛ばされたのは、さとりやバロウのすぐそばであった。 駆け寄った高嶺清麿と横島忠夫を追うように、マシン番長もゆっくりと足を進める。 土門の身体に埋め込んだARMSコア『グリフォン』は、彼の肉体に完全には適合しなかったのだ。 体内すら見透かす高性能カメラアイを内蔵したマシン番長には、移植した直後に分かってしまった。 目を覚ました土門には、偽ることなく伝えた。 申し訳なさでいっぱいだったというのに、返ってきたのは感謝の言葉であった。 (ナゼダ……) エネルギー切れ寸前のボディを動かしながら、マシン番長は考える。 彼のコンピュータをもってしても、答えは出ない。 寿命が僅かに伸びただけで、石島土門の死は確定していた。 にもかかわらず、彼は笑っていたのだ。 死を約束された身体で、霧沢風子の前に立ったのだ。 ――『死んだら終わり』のはずなのに。 疑問が解消できぬまま、マシン番長は土門の元に辿り着く。 清麿と横島は沈痛な面持ちを浮かべており、さとりとバロウは無言を貫いている。 仮にマシン番長の目が体内を視られる代物でなくとも分かるほど、もはや土門の死は明確であった。 全身に刻まれた亀裂は深く、表面は砂のように零れ落ちている。 両脚に至っては完全にくずれてしまい、単なる灰の山でしかない。 そんな状態でありながら、土門は歯を噛み締めている。 「クソ……もうちょっとだったのによォ!」 死に行く身で、心底悔しそうに。 「あんなデケェ竜巻出せんのかよ! 上から飛びこめるっつっても、アレじゃあ届くワケ……!」 もう終わっているというのに、未だ未来を見ていた。 「そ、そうか! ようは台風だ。中心に風はない!」 はっとしたように、清麿が玉とコピー用紙を取り出す。 その玉の正体を、マシン番長は先ほどすでに聞いている。 紙を操作する魔道具『式紙』だ。 これを使用すれば上空から侵入して、風神剣を叩き落せるかもしれない。 そう考えたのだろうが、マシン番長のカメラアイは彼らの想定外の現実を見ている。 「イヤ、違ウ。上部サエ、風デ覆ワレテイル」 風子を中心に展開する竜巻には、一切の穴がなかった。 完全に、四方を風で覆っているのだ。 マシン番長の推測通り、式紙で操作されたコピー用紙は彼方に吹き飛ばされていく。 風子の真上から侵入しようとしたというのに、近付くことさえ叶わない。 「バカな! 全方向を風で覆う竜巻なんて、存在するはずが――」 「通常ではあり得ぬものを作り出すのが、妖(バケモノ)なのさ」 清麿の声を遮るようにして現れたのは、見知らぬ白髪の壮年男性であった。 さとりに鋭い視線を飛ばしていたが、それ以上に警戒するべき存在に気付いたらしい。 竜巻と中心にいる風子に視線を向けてから、彼は下唇を噛み締める。 「私は蒼月紫暮と申すもの。 光覇明宗に属す法力僧で、あのような妖の退治を生業としている」 真っ先に食いついたのは、土門である。 上半身だけを起こして、勢いよく身を乗り出す。 「マジかよ、オッサン! いいとこに来てくれたぜ! あそこにいる風子が持ってる風神剣っていうのが、なんでも魔剣とからしくてだな!」 「ああ……分かっている」 「どうにかしてくれ!」 端的な説明と要請ののち、土門は頭を下げる。 紫暮のほうは、苦々しい表情を浮かべたままだ。 「アレだけの妖気を放つ相手となると、なにも持たぬ私には正直厳しい。 私の法力を増幅させる法具さえあれば、また話は別になってくるのだが…… このなかに、『錫杖』や『独鈷』や『札』といった法具を持っているものはいないだろうか?」 静寂が、辺りを支配する。 誰一人として声を上げるもののいない現状を見て、紫暮が不甲斐なさそうにほぞを噛む。 打つ手がない現状に、土門は右拳を地面に叩き付けた。 彼の身体に刻まれた亀裂はいっそう深くなり、右腕は肩から先が塵と化した。 「……一応、アルニハアル。法具トハ、トテモ言エナイガ……」 自らを痛めつける土門を見て、マシン番長はためらいながらも切り出す。 「俺ノボディヲ構成スル合金ニハ、銅、錫、亜鉛トイッタ法具ノ素材トナル金属モ使ワレテイル」 だからといって法具の代わりになるのかは、まったく定かではない。 そもそも紫暮の話した内容自体が、マシン番長にとっては信用し難い。 光覇明宗などという宗派は、コンピュータ内の膨大なデータにヒットしない。 だいたい妖怪とは、人々が理解できぬ現象を説明するべく作り出した想像上の存在のはずだ。 いままでのマシン番長ならば間違いなく、紫暮をペテン師と判断していただろう。 しかしながら、他ならぬ土門が信じている。 もう長くない身体で、突如現れた紫暮に一抹の望みを賭けようとしている。 ならば、マシン番長はその判断を信じるだけだった。 蒼月紫暮を信じるのではなく、蒼月紫暮を信じる土門を――信じようと思った。 「君は……機械なのか……?」 紫暮は目を丸くしながら、マシン番長のボディを眺めていく。 土門との戦闘で刻まれた傷から覗く配線を見て、どうやら納得したらしい。 「ありがたい。 法力が体内を通る際、かなりの痛みが伴うが……やってくれるか?」 「構ワ――」 「ちょっと待ってくれ」 すんなりと受け入れようとしたマシン番長だったが、清麿が割って入ってくる。 「あの、紫暮さん、一つ聞かせてもらいます。 マシン番長さんに法力とやらを通すというのは理解できましたが、それで……風子さんは助かるんですか?」 「…………」 その無言は、あまりにも雄弁すぎた。 眉間にしわを刻みながら、清麿が深く頷く。 「……やはりか。マシン番長さんのボディにいくら法力とやらを蓄えても、風子さんには関係がない。 蓄えた法力を風子さんに『ぶつけて』やって、その上で『解き放って』やらなきゃいけない……違いますか?」 清麿は、己の推測をとうとうと述べていく。 さながら、なにか心当たりでもあるかのように。 「…………ああ、そうだ」 再び立ち込めた静寂を破ったのは、紫暮の肯定であった。 怒りを露にして、土門が喰ってかかる。 「ふざけんな! そいつがボロボロなの、見りゃ分かんだろうがっ! あんな竜巻破って、風子に近づけるかよ! どうにか近づけたとしても、ただじゃすまねえだろっ!」 他に方法がないゆえの、苦渋の決断であったのだろう。 紫暮は弁解をするでもなく、静かに頭を下げた。 それ以上追及する気は土門にもないらしく、すぐに大人しくなる。 ともあれ、またしても打つ手がなくなっただけである。 (……違ウ) 打つ手自体はある。 それを選んでいないだけだ。 土門が紫暮を責めたのは、マシン番長に選ばせなかったからだ。 もしも危険を知った上で、マシン番長が自らの意思で選んだのならば――話は別のはずだ。 「問題ナイ。竜巻ゴトキ、突破シテミセル」 ゆえに、マシン番長は断言する。 自らの意思で、自らの進む道を選ぶ。 「なっ! おい、お前なに言ってんのか分かってんのか!?」 「分カッテイル」 マシン番長は断言して、紫暮の元に歩んでいく。 「死ぬかもしんねーんだぞ!? お前、もう身体ガックガクじゃねーか! もうヤベーんだろ!?」 「損傷ハ自己修復デキルガ、エネルギーハ枯渇寸前ダナ」 「だったら……! 余計なことしねえで休んでろよ、バカ野郎!」 「断ル」 あっさりと否定すると、土門は目を見開いた。 しばらくして我に返ったのか、また声を荒げる。 「ふざッけんな! 俺はたしかに風子のヤツを助けてやりてえけど、そのためにお前に死んで欲しくなんかねーんだよ! 人に気ぃ遣ってんじゃねえよ! せっかく製造者様の言いなりじゃなくなったのに、他人のために死のうとすんなよッ!!」 泣きわめくような絶叫を受けて、マシン番長はようやく合点がいった。 引き止めてくる理由が分からなかったが、どうやら誤解があったらしい。 「オ前ハ、勘違イシテイル」 だったら、誤解を解くだけだった。 「俺ガ、ヤリタイ」 怪訝そうな土門に言い聞かすように、マシン番長は続ける。 「他ノ誰かノ命令ジャナイ。 他ノ誰カノ言イナリニナル気ハ、モウナイ。 俺ガ俺自身ノ意思デ、風神剣ニ操ラレテイル霧沢風子ヲ――」 遭遇時に浴びせられた言葉が、メモリーのなかからフラッシュバックする。 『救ってやる』――と。 命の意味を知らぬマシン番長に、石島土門はそう叫んだ。 自分とは無関係の他人にもかかわらず、たしかに言ったのだ。 ずっと意図が分からなかったが、いまなら分かる。 自分の意思で進もうとしない風子を見ていて、マシン番長も――同じ思いを抱いたのだから。 「救イタイ」 話していて、マシン番長はもう一つ理解した。 死ぬことが確定していながら、土門はなぜ立ち上がったのか。 どうして感謝の言葉を残して、暴走する風子の前に立ったのか。 自らも、エネルギー切れ確率百パーセントのミッションを選択したのだ。 ――もはや、疑問は氷解していた。 「はっ、そうかよ。 しゃーねえな。俺の大事な役、譲ってやるよ」 土門のほうも、きっと納得してくれたのだろう。 しばし間を開けてからおかしそうな笑みを浮かべ、すぐに真剣な表情になる。 「風子を抱き締めてやってくれ」 竜巻を突破したのち、それだけのエネルギーが残っている確証はない。 そんな計算結果を踏まえた上で、マシン番長は言い切る。 「任セロ。俺ハ、タダノ機械(マシン)デハナイ。 『テメェノ意思』デ、『テメェノヤリタイコト』ヲ選ンダ機械ダ。 言タコトニ従ッテイル霧沢風子ノ竜巻程度、突破デキナイハズガナイ」 なんの理屈も通ってない断定さえ、いまのマシン番長にはできるのだった。 「悪魔退散、怨敵降伏、七難速滅、復速生秘、法身において――」 紫暮の詠唱が進むごとに、マシン番長の身体を痛みが走り抜ける。 すでに負っている損傷を抉り込むような感覚だったが、実際のところ損傷箇所が増えることはない。 むしろ、マシン番長のボディは修復を進めている。 おそらくこれが法力が伝わる感覚なのだろうと、一人納得する。 「準備は完了した。 あとは君が風子ちゃんに接触してくれれば、私が最後の一句を唱えて終いだ」 「了解シタ。突入スルタイミングハ――」 「まだだ!」 声に被せるようにして、清麿の指摘が入ってくる。 全方向を風で覆った自然ではあり得ぬ竜巻でも、内部の空気が薄いのは変わらないらしい。 それに気付くきっかけとなったのは、さとりの一言だ。 風子が息苦しいと考えたのを読み取り、誰にともなく呟いた。 そしてその数刻後、たしかに竜巻の勢いが僅かに緩まった。 ただでさえエネルギーが枯渇気味な現状、微かながらも消耗を少なく済ませられるのならば、是非ともすがりたいところだった。 とはいえ機械であるマシン番長には、人間が呼吸をするタイミングが分からない。 竜巻を構成する風が弱くなり、竜巻内の風子の喉が動く瞬間。 これは目視できるものの、それから動き出したのでは遅すぎる。 心を読めるさとりに尋ねてみたが、彼にも読み取れないとのことだった。 息苦しいという思いは読み取れても、何秒後に呼吸をするという思考は読み取れないらしい。 竜巻を弱める際に風子はいちいち意識しておらず、無意識で行っているようだ。 タイミングを見計らえるのは、清麿だけだった。 なんでも、戦闘において息継ぎするタイミングについて、誰より詳しい自信があるという。 自信を裏付けるように、すでに三回息継ぎするタイミングを当てている。 それだけ確認すれば、もう信じるに値する情報だ。 テストは終わり。 次が――本番だ。 突入するマシン番長だけでなく、全員が清麿の号令を待っているだろう。 誰一人として口を開くことはなく、緊張感が辺りを包む。 唯一、竜巻の風切り音だけが住宅街に響きわたる。 「――いまだっ!!」 清麿が言い切るのを待たず、マシン番長は右足で地面を蹴った。 左足が地面につくより早く、その両足裏に備え付けられたバーニアが火を噴く。 瞬く間に上空で体勢を整えて、竜巻へと頭から突っ込んでいく。 エネルギー残量を考慮に入れていない駆動法に、マシン番長のコンピュータが即座に反応する。 視界にかぶさるように、無数の警告ウィンドゥが展開された。 それらをすべて無視し、コンマ数秒と要さずにトップスピードに乗せる。 勝手にエネルギー節約モードに移ろうとするが、許可をしない。 力をセーブするつもりはない。 ボディがそれを望もうと、コンピュータが指示しようと、マシン番長は従わない。 自分で決めたやりたいことなのであるから、体内でどれだけ警告が響こうとも止まる気はない。 それが――貫くということだ。 凄まじい速度で流れていく視界のなかでも、マシン番長のカメラアイは標的を見逃さない。 清麿の号令通り、竜巻の表面部が僅かに弱まっている。 ほんの数瞬後にさらに弱まり、霧沢風子は呼吸を行うだろう。 コンピュータを無理に動かして、計算を完了させる。 竜巻に指先が触れる寸前に、風の勢いはもっとも弱まる。 まさしく、ドンピシャのタイミングだ。 マシン番長が成長を確信したとき、風子と目が合った。 「ナッ!?」 ちょうど竜巻にマシン番長が触れた、その瞬間である。 このまま弱まっていくはずの風速が、一気に上昇した。 無意識のうちに呼吸を行うほど息苦しいはずなのに、風子は竜巻を強めたのだ。 (ナゼ……!) 考えたのとほとんど同時に、マシン番長は理由を察した。 マシン番長もまた、土門から伸ばされた手を一度払いのけたのだ。 おそらく――いまの霧沢風子は、伸ばされた手がわずらわしいのだろう。 「グオォォォッ!?」 相手の意図が分かったところで、なにかが変わることはない。 竜巻が緩まったとしても、エネルギーが保つかはギリギリのところだったのだ。 ならばこれまで以上の風速を出した竜巻を、マシン番長が突破できるはずがない。 バーニアによる加速を乗せた身体が、少しずつ減速していく。 このままでは、いずれ押し戻されてしまうだろう。 もはや通常通りにコンピュータが動いてくれないが、それだけは明らかだった。 「ガァァァーーーーッ!!」 マシン番長は叫ぶ。 自分の推測を認めない。 予想できる現実を許さない。 石島土門は、万物を貫くドリルを耐えてみせた。 予想外の現実を掴み取ってみせた。 マシン番長は、それを知っている。 間違いなくあった計算外の現実を記憶している。 だから、たとえ百パーセント押し戻されるとしても―― 「知ッタコトカァァァーーーーッ!!」 肌を模した装甲が、めくれあがっていく。 体内で配線が切れ、火花が散る音が響く。 スピーカーが異常をきたし、声が裏返る。 それでも、たしかに押し返さんとする風に逆らって、身体が加速した。 叫びで自らを鼓舞するなど非合理的もいいところだが、実際に速度が上がった。 不可解な現実であろうとも、マシン番長は受け入れる。 風に押し戻されず、また振り回されることない。 竜巻の中心部を目指して、まっすぐと突き進む。 残り二十メートル、十五メートル、十メートル―― 竜巻のなかをゆっくりとだが、たしかに進んでいく。 あと十秒と待たず、限界まで伸ばした手は風子に触れるであろう。 ――けれど、そこまでだ。 やけに軽い炸裂音とともに、右足裏のバーニアが弾け飛んだ。 バーニアが片方になったせいで、一気に速度が低下する。 くわえて二つあったものが一つになったせいで、体勢を上手く保つことさえできない。 平常時ならば片方で問題なく飛行可能な駆動法を計算できただろうが、いまとなっては不可能だ。 マシン番長は竜巻に弾き飛ばされ、あらぬ方向へと吹き飛ばされていく。 (スマナイ。抱キ締メラレソウニナイ……) 頼んできた土門の姿が蘇り、マシン番長は胸中で頭を下げた。 竜巻のなかで、ようやく竜巻が弱まっていくのが分かる。 少し遅れた呼吸の機会を、いま作っているのだろう。 だがバーニアが片方爆散した以上、竜巻を突破することは不可能だ。 近付くことができなければ、抱き締められるはずがない。 (…………イヤ!) マシン番長は勢いよく目を見開く 前提が間違っている。 はたして、マシン番長とはなにか。 その名が示す通り、機械(マシン)だ。 ならば、できる。 たとえ近付けなかろうと――抱き締めることはできるではないか。 「『ライトニング・フィスト』」 掛け声とともに、マシン番長は両手首から先を射出する。 二つの手は、風速が弱まっている竜巻のなかを凄まじい速度で進んでいく。 「なあっ!?」 驚きを露に、風子が口を半開きにする。 予想だにしていない事態なのか、飛ばされた手に対処できずにいる。 その隙を逃さずに、マシン番長の手は風子の元に届く。 唖然としている風子の両肩を掴んで、手首に付属しているワイヤーを巻き取る。 未だボディは竜巻に吹き飛ばされている状態でありながら、マシン番長は迫ってくる風子から視線を離さない。 そうして、着地の際に怪我をしてしまわぬよう手を回し、もう手放してしまわぬよう力強く――――ぎゅうっと抱き締めた。 飛行がままならないのに、華麗な着地などできるはずがない。 竜巻によって更地と化した住宅街に、マシン番長は背を打ち据えることになる。 十数メートルほど地面を転がり、どうにか身体が静止した。 上体を上げて風子に傷がついていないのを確認して、マシン番長は安堵する。 その直後、何者かが駆け寄ってきて、マシン番長の身体に手を当てた。 「――封ッ!!」 紡がれたのは、事前に伝え聞いていた詠唱の最後の一節。 マシン番長のボディに痛みが走り抜け、眩い閃光が放たれる。 その輝きは、抱き締められている風子の身体を包み込んでいく。 しばらくして光が晴れていったあと、風子の額に生えていた二本の角は消え失せていた。 光が納まったのを確認し、風子はまぶたを開く。 異変にはすぐに気付いた。 やかましいほど聞こえていた怨嗟に満ちた声が、いまではまったく聞こえない。 薄暗くぼやけていた思考が、やけに鮮明だ。 風神剣は足元に転がっている。先ほどは拾い上げるよう指示してきたはずだというのに、声は届かない。 そこまで考えて、すぐにより大事なことを思い出す。 勢いよく首を動かして、風子はある一点に向き直る。 「土門……」 もはや、彼の身体は胸から上しか残っていない。 曖昧な記憶のなかの姿と、なにも違いはなかった。 風子の瞳から、勝手に涙が溢れ出してくる。 「勘違いすんじゃねえぞ、風子。 ARMSっつーのに合わなかっただけで、俺がこうなったのはお前のせいじゃねえよ」 慰めてくれるようだが、ほとんど風子の耳には入っていなかった。 人体があのような状態に陥る姿は、見たことがない。 もしかしたら、本当にARMSというものに合わなかったからかもしれない。 だとしても―― 風神剣の力に魅入られたばっかりに。 風神剣の言葉に惑わされたばっかりに。 土門に残された時間が少ないという事実は、まったく変わらない。 なんと声をかけるべきなのか、風子には分からない。 土門の無残な姿を見て頭が真っ白になり、そこを付け込まれた。 そんな事実を明かしたところで、なんになるというのか。 同情してくれるかもしれないが、同情されるのがなによりつらい。 土門の近くには、土門を殺そうとした二人がいる。 被害者である土門が彼らを許したというのに、自分はなにをしていたのか。 風神剣の言葉に従って、火影としてのルールさえ手放してしまった。 そんな自分を土門は助けようとしてくれたのに、手を払い除けようとした。 土門だけではない。 他のみんなも、大して知りもしない自分を助けようとしてくれたのだ。 人を殺す化物に堕ちかねなかった自分に、助けられる資格などあったのだろうか。 考えれば考えるほどに、疑問が膨らんでいく。 顔を見ることすら申し訳なくなり、風子は土門から目を伏せる。 そんな風子の視線を追うように、すぐ近くにいるマシン番長が覗きこんでくる。 どれだけ逸らしても、怪訝そうに見てくるばかりだ。 「…………」 切り出すべき言葉を見つけられず、風子は無言でマシン番長を見る形になる。 そんな風子の意図が分からないらしく、マシン番長は怪訝そうに首を傾げる。 「喧嘩ノアトハ仲直リ――デハナイノカ?」 心底不思議そうな問いかけに、風子は目を見開いた。 火影のメンバーは、決して全員同じ考えの持ち主というワケではない。 むしろ正反対であり、考えがぶつかり合った回数は両手の指では数え切れない。 そのたびに喧嘩をして、そのたびに仲直りしてきたのだ。 「いいこと言うじゃねえか、マシン番長。さすが火影の新メンバーだけあるぜ」 かっかと笑う石島土門も。 この場にいるらしい小金井薫も。 すでに死んだという水鏡凍季也も。 最初は敵として花菱烈火の前に立ち、仲間になってからも何度も殴り合っている。 意見が異なれば譲るのではなく、殴り合って主張を認めさせる。 それが――火影というチームであったのだ。 忘れていたことを思い出し、手の甲を涙で拭う。 深呼吸をして呼吸を整え、風子は土門をまっすぐと見据えた。 「ごめん、土門」 「いいぜ、風子」 一秒の間も空けずに、返事は飛んできた。 「ヨカッ……タ……」 その様子を眺めていたマシン番長が、安心したように言って――くずおれる。 周囲が驚きの声を上げるのに反して、本人は意外そうでもなんでもない。 「エネル、ギー……切レ、カ…………」 かくかくとできの悪いブリキ人形のような動作で、マシン番長は口を動かす。 絶句したのは風子だけで、他のみんなは納得した様子だった。 それを見て、竜巻に突入する際にでも明かしていたのだろうと、察してしまった。 土門がせっかく見つけた火影の新メンバーが、自分のせいで倒れようとしている。 再び、風子のなかに絶望が蘇る。 思考の渦に落ちていく風子を現実に引き戻したのは、聞き覚えのある声だった。 「さあああああせえええるううううかあああああああああああああああああっ!!」 土門の近くにいた横島が、なにやら振りかぶっている。 彼がいることに気付いていなかった風子が、目を丸くする。 これまでなにもしていなかったというのに、いきなり声を張り上げてどうしたというのだろうか。 自体を呑み込めない風子をよそに、横島は微弱な光を帯びたピンポン玉ほどのサイズの球体を放り投げた。 マシン番長の肉体に接触すると跳ねかえることもなく、そのまま体内に沈み込んでいく。 目を凝らしてみると、その玉には『給』という文字が刻まれていた。 「なんと……っ。凄まじい法力を内包しているな」 呟いたのは、風子のすぐそばで佇んでいる壮年の男性だ。 風子がその意味を読み取れずにいると、マシン番長がいきなり立ち上がる。 先ほどまでのぎこちない動作とは異なり、やけになめらかで柔軟だ。 「エネルギーってのが電気だかオイルだか知らねーけどよおおおお、なんにせよ『給油』なり『給電』なりすりゃあ済むだろうがあああああああああ!」 マシン番長は目をぱちくりさせているが、風子には意味が理解できた。 『文珠』というものの説明自体は、すでに聞いていたのだ。 とんだ出まかせだと決めつけていたが、どうやら真実であったらしい。 同じく文珠の話を聞いていた清麿も、ぽかんと口を開いている。 「…………マジだったのか、あの話」 「ふははは! かっこよく死ぬなんてやらせるか、ボケェェーーッ! 助けてくれたイケメンがそのまま亡き人になるとか、そんな一生忘れられなくなるパターン許さんっ!」 横島のいつもと変わらぬ発言に、風子はつい頬を緩めてしまう。 余計な一言がなければ、素直に称賛する気にもなるのだが。 ともあれ、今回ばっかりは話は別だ。 風子が横島へと感謝の言葉を伝えようとした――そのとき。 「ありがとう、あの鬼を封じてくれて」 風子ではなく、別の誰かが感謝の言葉を紡ぐ。 見れば、これまで無言を貫いていた少年が掌を向けている。 「『唯我独尊(マッシュ)』」 幼さを残した少年の声を完全に聞き取ることもできず、風子の視界は暗転した。 ◇ ◇ ◇ 類稀なる明晰な頭脳の持ち主である高嶺清麿でさえ、現状を呑み込めずにいる。 霧沢風子は、風神剣の支配から解き放たれた。 マシン番長は、エネルギー切れの危機を脱した。 横島忠夫の話が偽りではなかったことが、判明した。 蒼月紫暮という妖怪退治のスペシャリストと知り合えた。 殺し合いに乗っていたさとりも、風子を解放する手伝いをしてくれた。 石島土門の死は避けられないが、風子と安らかな会話をすることができた。 ――すべてが上手く回っていた。 その認識は、きっと間違っていなかったはずだ。 (なのに……どうしてこうなった?) 落ち着こうにも、落ち着けない。 困惑している頭脳をどうにか動かして、清麿は現状を認識しようとする。 バロウが、なんらかの言葉を唱えた瞬間。 風子とマシン番長と紫暮の背後に、トラックほどのサイズの立方体が出現した。 それがただの立方体ではなく『顔』であるのは、すぐに分かった。 一面には、輝く二つの『目』と、巨大な『口』があったのだ。 大きく開かれた口には、咥えたものを磨り潰すような歪な『歯』が並んでいる。 その巨大な顔に――三人は呑み込まれた。 呆然とするしかできずにいると、まったく同じ軌道からまったく同じ顔が出現し、再び飲み込んだ。 三度、四度、五度――と奇妙な顔が奇妙な顔を呑み込み続け、そこで土門が声を張り上げた。 しかし土門には右腕を除く上半身しか残っておらず、立ち上がることさえできない。 いきなり出現した砲台に撃ち抜かれ、砕けかけていた身体を完全に粉砕されてしまった。 先ほどまで土門の横で座り込んでいたバロウは、清麿にはただの少年に見えていた。 決して、完全に信用していたワケではない。 風子を救うのが第一であっただけで、警戒を緩めたつもりはない。 それでもよもやいきなり凶行に出るとは、思っていなかった。 まさか初撃で人数の不利を一気に覆しにくるとは、まったくの想定外だ。 人数では圧倒的に有利だったゆえの安心か、風子が救われたことで気が緩んでいたのか。 定かではないが、とにかく事実として――清麿はバロウにまんまと一杯喰わされたのだ。 「バロウ、どうして……」 清麿がどう出るべきか見定め切れずにいると、さとりが問いかける。 はたして彼には、バロウが凶行に出ると読めていたのだろうか。 疑問を抱く清麿をよそに、バロウはゆっくりと振り返る。 その顔面には、『無』が張り付いていた。 笑うでも悲しむでもなく、また明るくも暗くもない。 仮面でも被っているかのように、表情が読み取れない。 「おかしなことを訊くなあ、さとりさん」 おかしそうな口調に反して、表情はやはりなかった。 「だって言っていたじゃないか……土門さんも。 機械の人だって、同じことを思っていたはずだよ」 質問の答えなど、とうにさとりには読めているはずだ。 そのくらい分かっているだろうに、バロウは話すのを止めない。 「殺したら――終わりなんだってさ」 淡々と語るバロウは、さも自分自身に言い聞かすかのようだった。 疑問には答えたにもかかわらず、バロウは静かに続ける。 「僕らは終わってるんだよ、さとりさん。 いまさら一緒になんていられるはずないじゃないか、風子さんじゃあるまいし」 バロウの表情は、まったく変わっていない。 依然として、皆無である。 なのに――清麿には、彼が泣いているように見えた。 誰の返事も待たず、バロウは復唱するようにもう一度。 「僕らは、終わっているんだから――さ」 数刻静寂が辺りを支配したのち、さとりは清麿らのほうに向き直る。 バロウの側に立って、海月を振り上げる。 「クソッ。マジか、お前ら……!」 言って、横島もまた両腕を振りかざす。 数回腕を上下させてから、ゆっくりと自分の腕を眺める。 三十秒ほどその動作を繰り返し、ようやくなにも持っていないことに気付いたらしい。 「しもたああああああああああああああ! あんまりにも安心して霊波刀消してもうてたああああああああ! 堪忍やあああああああああああああああ!」 ばたばたと腕を動かして、横島がのた打ち回る。 おどけたような動作だったが、彼に飛んできた返事はひどく冷たい。 「バロウ、こいつ『勢いで誤魔化してやろう』と思っているぞ」 「うん、察してた。察してたけど、あんまりにも見苦しくてちょっと」 「あァ。それも読めてたけど、一応言っておこうと思ってなァ」 「ぎゃあ」 横島が頭を抱え――瞬間、轟音が響いた。 バロウとさとりに遅れて、清麿と横島も音の方向に視線を飛ばす。 そちらでは、奇妙な顔が煙を立てて爆発している。 バロウの力によるものか、奇妙な顔が掻き消える。 呑み込まれたのは三人だというのに、顔があった場所にいるのは一人。 紫暮が白い僧衣を赤黒く染めて、地に伏しているだけである。 「バロウ、上だ!」 さとりの声に従って、他の三人も上空を見上げる。 左足裏のバーニア一つで飛ぶマシン番長が、そこにいた。 右腕の肩口から先が存在せず、切断面から火花を散らしている。 残った左腕で抱えられている風子には、目立った傷がない。 「――くッ! 『唯我独尊』!」 目に見えて平静さを失いながら、バロウが先ほどと同じ単語を叫ぶ。 奇妙な顔がマシン番長の背後に出現するが、その大口は虚空を噛むだけだ。 来ると分かっていれば、マシン番長にとっては避けられないものではないらしい。 「さとりさん!」 数回攻撃を繰り返して、勝ち目がないと判断したのだろう。 土門が所持していた二つのリュックサックを掠め取ると、バロウはさとりの手を掴んだ。 彼の靴を覆うようにして、ローラースケートのようなものが出現する。 その車輪が勢いよく回転し、凄まじい速度で遠ざかっていく。 数秒後には、彼らの背中は見えなくなった。 「……ちくしょう」 歯噛みしながら、清麿は土門であった塵山の元に歩み寄る。 彼が纏っていたボディスーツは傷だらけで、とてももう使えないだろう。 灰山のなかに、輝く欠片がいくつもある。 拾い上げてみたが、ARMSコア『グリフォン』はいくつかの破片に分かれてしまっていた。 組み合わせたら球体にはなったが、少し力を抜けば崩れてしまう。 清麿の掌から、土門であったものが零れ落ちていく。 掌の上で、ARMSコアの破片は氷のように冷たい。 「……ちッくしょう…………!」 口から漏れるのは、同じような言葉ばかりだ。 ARMSコアであった欠片を握る力が、知らず強くなった。 微かな音を立てて、欠片は完全に砕け散った。 マシン番長に下ろされた風子は、紫暮、土門、マシン番長と一人ずつ眺めていく。 悔しそうに歯を噛み締めて、なにかを探すべく視線を下に向ける。 目当てのものは、紫暮の亡骸のすぐ近くにあった。 紫暮のものと思われるリュックサックの傍らだ。 風子の視線がなにに注がれているのか気付いたのか、マシン番長が割って入る。 彼を払い除けようとすると、しわがれた声が浴びせられた。 「その剣でなにをしようと言うんだい?」 見れば、声の主は白銀の髪を持つ老婆だった。 すべてを見透かすような銀色の瞳は、風子を射抜いて外さない。 警戒心を強めているらしい清麿が何者か訊くと、視線を動かさぬまま名乗る。 「ルシール・ベルヌイユという名の、見ての通りのババアさ。 さっきまでは、そこで死んでる蒼月紫暮と同行してたんだけれどね。 生憎、化物だの霊だのの知識はなくてね。離れたところで見させてもらってたのさ――で、だ」 簡潔に立場を説明して、ルシールは再び問いかける。 「アンタは、その剣でなにをしようと言うんだい? そいつが本物の魔剣とやらであるのは、遠くから見ていた私でも頷けるほどだよ。 その魔剣で、アンタはどうするんだい? 助けようとしてくれたジジィとガキを殺した二人を――いったい」 穏やかな口調だが、声音は低い。 白銀の瞳を細めて、風子を見定めるような視線を飛ばしている。 身体を小刻みに震わしながら、風子はゆっくりと切り出す。 「決まってんだろ……!」 僅かに口籠ってから、声を張り上げる。 「ブッ飛ばして、頭下げさせて、二度と人殺しなんかさせねえ! せっかく手放させてくれたのに悪ィけど、使わなきゃ戦えねえんだよ! でも、もうあんな剣なんかの命令聞いてやるもんか! 私の言うことに従わせてやる!」 ルシールの白銀の瞳を睨み返し、風子は断言する。 しばし間を置いて、ルシールはもう一度尋ねる。 「それで、本当にいいのかい」 「いいに決まってんだろ! 土門は、アイツらを許してたんだ! いっぺん殺されかけたのにだ! いまさら私が殺してたまるかよ!!」 互いに睨みあったまま、どちらも動かない。 たっぷり一分ほど時間が経過し、退いたのはルシールのほうだった。 しかし僅かに冷や汗をかいている風子とは異なり、ルシールは涼しい顔だ。 『退かせた』のではなく、『自ら退いた』のだろう。 いつの間にか口内に唾液が溜まっており、風子は慌てて呑み込む。 「そうかえ」 ルシールはカツカツと音を立てて風子の前を通り過ぎ、紫暮のデイパックを回収する。 そうして風神剣を拾い上げ、「へえ」とつまらなそうに吐き捨てる。 殺意の塊が流れ込んでくるはずなのに、平然としたそぶりだ。 目を見開く風子の元に、風神剣が放り投げられる。 「ほら」 「うわわわっ。バッ、バカ! 危ねえだろ!」 慌てながらも、風子はどうにか柄部分を握ってキャッチする。 握ったそばから憎悪に満ちた声が、脳内に響き渡る。 「るっせえ! 殺さねえッつってんだろーがッ! 黙って言うこと聞きやがれッ!!」 声を無視するのでもなく、受け入れるのでもなく、正面から切り捨ててやる。 すると、風神剣からの声は止まる。 だが、風子は安心しない。 諦めたかのように見せて、隙を窺ってくるのはすでに知っている。 だから、こう言ってやるのだ。 「いつ出てきても、おんなじこと言ってやっからな。覚悟してろよ」 くっくっく――と。 意外にもルシールが笑い声を漏らしたので、風子も笑い返してやった。 【蒼月紫暮 死亡確認】 【石島土門 死亡確認】 【残り52名】 【C-3 北西部路上/一日目 昼】 【マシン番長】 [時間軸]:雷鳴高校襲撃直前 [状態]:全身ダメージ極大(自己修復中)、右足バーニア爆散(自己修復中)、右腕肩口から先を欠損 [装備]:なし [道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式 [基本方針]:月美を笑顔にするために動く。誰も殺さない。 ※一定以上の戦闘力があるとみなした人物は、番長であると判断します。 ※レーダーは制限されています。範囲は不明。 ※右腕喪失は自己修復不可能です。 【高嶺清麿】 [時間軸]:最終回後 [状態]:健康 [装備]:式紙@烈火の炎 [道具]:基本支給品一式×2、声玉@烈火の炎、テオゴーチェの爆弾ボール@からくりサーカス、コピー用紙80枚@現地調達、AK-47@現実 醤油差し@現実、わさび@現実 [基本方針]:このゲームからの脱出。ガッシュに会いたい。いずれアリスとコンタクトを取る。横島を監視しつつ風子と同行する。落ち着いたら情報交換しないと。 【霧沢風子】 [時間軸]:SODOM突入前。 [状態]:疲労(大) [装備]:風神剣@YAIBA [道具]:基本支給品一式×2(水一本消費)、ハンディカラオケ@現実、支給品0~2(風子確認済み) [基本方針]:このプログラムを破壊する。誰も殺さないし、もう迷わない。 【横島忠夫】 [時間軸]:文珠を出せる時期。 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:なし [基本方針]:死にたくない。忠夫ちんぴんちっ。胸揉みたいとか言える空気じゃねえ。 【ルシール・ベルヌイユ】 [時間軸]:真夜中のサーカス襲撃直前 [状態]:健康 [装備]:ベレッタM84 [道具]:基本支給品一式×2、鍋の蓋、支給品0~2(確認済み) [基本方針]:ドットーレを『確実に』殺す。そのためなら、多少遅れてもいい。清麿らと接触。 【さとり】 [時間軸]:紫暮&うしお戦直後 [状態]:万全 [装備]:海月@烈火の炎 [道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品1~5 [基本方針]:優勝し、ミノルの目を治して人間となり一緒に暮らす。 【バロウ・エシャロット】 [時間軸]:三次選考開始後、植木チーム戦以前。 [状態]:右斜めに斬られた傷 [装備]:H K MARK23(8/12)@現実 [道具]:基本支給品一式×3+水と食料一人分、月の石×4@金色のガッシュ、RPG-7(グレネード弾×5)@現実、支給品1~7(0~3:バロウ確認済。0~1:土門確認済み。1~3:烈火確認済み、花火以外) [基本方針]:人間になるため、最後の一人となる。 ※名簿に書かれたロベルト=アノンと認識しています。 【支給品紹介】 【バラの花束@烈火の炎】 石島土門に支給された。 SODOM突入前に、土門がクラスメイトの少女・霞に手渡されたもの。 どこぞの青いバラではない。 【備考】 ※アドバンスドARMSグリフォン@ARMSのコアは、完全に粉砕されました。 ※御神苗優のAMスーツ@スプリガンは、胸部を抉られ、胴部を突き破られた状態で、C-3(北西部路上)に放置されています。破損が激しく、装着できる状態ではありません。 投下順で読む 前へ:殺したらおわり(前編) 戻る 次へ:檻の外のヒト 時系列順で読む 前へ:殺したらおわり(前編) 戻る 次へ:檻の外のヒト キャラを追って読む 117:殺したらおわり(前編) 霧沢風子 119:ワンダーランド2 横島忠夫 高嶺清麿 マシン番長 ルシール・ベルヌイユ 石島土門 GAME OVER 蒼月紫暮 GAME OVER バロウ・エシャロット :[[]] さとり ▲
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ピチピチレオタード姿の真琴先輩にシックスナインの体制から太ももとふくらはぎで俺の頭は挟まれ、 顔面は豊満なおしりに圧迫され、俺の顔は完全に真琴のおしりの割れ目にうずまる形になった。 口にアソコ、鼻におしりの穴がくい込みレオタードの薄い生地を通してその柔らかい感触と匂いが伝わった。 「私に勝ったら私のヴァージン、プレゼントする約束よね。」 俺は真琴のヴァージンがどうしても欲しくて、勝負を申し込んだ。持ち前の負けん気でどうにかなると思ったが、 試合開始5秒も経たず、押し倒され、三角締めが変形した形の真琴の言う桃尻固めと言うエロティックな技をきめられてしまった。 レオタード越しとはいえ、真琴の柔らかいおしりが俺の顔を挟み込み、アソコが俺の目の前0距離で俺の顔に密着している。 劣勢な状況だが夢のような気分だった。レオタードの繊維の隙間から辛うじて呼吸をすると、真琴のアソコの匂いとおしりの匂いが ミックスしたフェロモン臭が鼻腔に侵入した。くさいはずなのにずっと嗅いでいたくなるいい匂い。 不覚にも俺のチンコは既にギンギンの状態で今にも発射しそうだった。俺は真琴のヴァージンを頂く前にこのシチュエーションを 少しの間だけ楽しもうと考えた。どうせ男の力ならすぐはずせるだろうとたかをくくった。顔全体で真琴のおしりの感触を味わい 鼻をスンスンと鳴らして匂いを嗅ぎ、口をモゴモゴ動かして真琴のアソコを刺激した。 「アン くすぐったい!」 俺の愛撫で感じて太もものヘッドロックがゆるみ、逆転できるだろうと俺は考えた。がしかし、 ふともものヘッドロックが緩むどころかますます締めあげがきつくなった。 「へぇ~なかなかやるじゃない、私もお返ししよっかな~」 真琴はそう言うと、俺のトレパンを脱がしブリーフも脱がし、俺のギンギンのチンコを露わにした。 「やだ、なに興奮しちゃってんの?ふ~ん私のおしりに挟まれて興奮してるわけ?田中君もしかしてM男?」 俺はチンコを露わにされたこととM男呼ばわりされたことが悔しくなり、俺の頭をがっちりロックしている太ももを はずそうとした。しかし、その瞬間、チンコに今まで味わったことのない快感を感じた。 そう真琴は俺のチンコをフェラしはじめた。そして3秒経たず真琴の口の中に発射してしまった。 「もうイっちゃった?ウブね でもまだまだ終わらないよ」 真琴は俺の射精後のフニャチンを再び口に含み、超テクニックのフェラが再びはじまった。 俺の顔面に密着しているおしりとアソコの誘惑とフェラテクで再び3秒でイってしまった。 真琴はそのままノントップフェラを続け、俺は10回連続でイき続けてしまった。 憧れの女のおしりとアソコを顔に密着させられ、フェラされたらボッキを止めることなど不可能だった。 主導権を完全に真琴に奪われ、俺はひたすら射精することしかできなかった。 こっちはチンコを露わにしてイき続けているのに、真琴はレオタードを着たままで濡れてもいないという状態 もくやしかった。 「クスッ 完全に悩殺されちゃったみたいね?わかってる?私に勝たないと私のヴァージン手に入らないよ?」 俺の顔に密着しているレオタード越しのヴァージンマンコは薄いレオタードの生地だけの0距離にあるのに 永遠にたどり付けないものに感じた。 「第2ラウンド開始!」 再び真琴のフェラがはじまった。 「アン おちんちんふやけてきちゃったかしら?栄養補給してあげよっか?」 俺は何の事かわからなかったが、顔に密着している真琴のおしりが前後にムニュムニュ動き俺の鼻を探りだした。 そしてつぎの瞬間! プッ プスッ 俺の鼻に密着した真琴のおしりの穴かから強烈な匂いのオナラが発射され、ダイレクトに俺の鼻腔に注ぎ込まれた。 「くっ くせっ!」 「どお?私のプレゼントは?気に入ってもらえたかしら?」 憧れの女のオナラは想像したことはあったが、ここまでくさいとは思わなかった。しかも俺の顔と真琴のおしりは完全密着の 状態なので、強制的に嗅がされ逃れることはできなかった。 「あら?おちんちん元気になったみたいね?オナラで興奮するなんてM男の中でも相当変態の部類じゃない?」 俺は自分の中に眠っていた変態性癖を暴露され、屈辱と快感が脳内を駆け巡り、真琴のおしりに割れ目の中で気を失い 完敗した。